エタニティリング 使い勝手とダイヤの輝きは反比例する

未婚既婚問わず人気のエタニティリング。

エタニティとは永遠を意味することから、婚約指輪と思われがちですがさにあらず。

ダイヤが横並びにデザインされたこのリングはファッションリングとして重宝されており、未婚者であっても身に着けている人は多くいます。

ですが、ひとつだけ難点が。

それはダイヤを留めている爪が衣服などの繊維に引っ掛かり、使い勝手が悪いという点です。

エタニティリングは普段使いにされることもあり、その普段使いに最も求められるのは使い勝手です。

その使い勝手が悪いとなると、普段使いには向かないということになります。

そこで改良されたのが、フチありやレール留めのエタニティリングです。

フチありのエタニティリングとは、爪留めのリングにフチを付けた格好のリングで、これにより表面がツルっとした感じになり引っ掛かりがなくなるというものです。

そしてもうひとつのレール留めとは、ダイヤを爪で留めるのでなく地金で挟んでダイヤを留める技法で、爪がないため引っ掛かりの心配がないというリングです。

これにより双方とも使い勝手がいいエタニティリングとして生まれ変わったわけです。

しかし使い勝手が良くなった反面、悪くなることもあるのです。

それはダイヤの輝きです。

このページでは、使い勝手が良くなったエタニティリングのダイヤの輝きが、なぜ悪くなるのか説明させて頂きたいと思います。

ダイヤの輝きは露出度に比例する

そもそもダイヤはなぜ輝くのでしょう。

ダイヤが自ら輝かないのは自明の理です。

ダイヤは光の反射によって輝きます。

光がダイヤに入射し、その入射した光がダイヤ内で反射され再びダイヤ外へ放射される。

これがダイヤの輝きです。
以下のイラストは、Excellentカットされたダイヤの光の反射経路です。

つまり光が入射してこそダイヤは輝きます。

ですがダイヤの周りを何かで閉ざされた場合はどうでしょう。

光の入射が減り、当然反射する光も減るわけです。

つまりダイヤの輝きはダイヤの露出度に比例するのです。

露出度の高いダイヤは光の入射量が多くなり、反射も多くなります。

しかし反対に露出度の低いダイヤは光の入射が少なく、反射も少ないということです。

この原理をエタニティリングの留め方に当てはめてみればどうでしょう。

爪留め、フチあり、レール留め、それぞれダイヤの露出度を比べてみましょう。

爪留め

まず爪留めの場合はどうでしょう。

爪留めはひとつのダイヤを小さな爪だけで固定していますから、ダイヤの前面だけでなく側面も外にさらされている状態です。

光を前面だけでなく側面からも取り入れることが可能なため、非常に露出度が高いといえます。

フチあり爪留め

フチあり爪留めとは、爪留めのサイドにフチを設けたエタニティリングのことで、これはもともと爪留めが繊維に引っ掛かりやすいというデメリットを改良するために行われた施策です。

爪留めのダイヤに、さらにサイドをフチで覆ってしまっている状態。

ここまでダイヤを覆ってしまうと表に出ているのはダイヤの前面だけとなり、露出度は極端に低くなります。

レール留め

レール留めとは、地金と地金でしっかりとダイヤを挟んで固定して留めてあるエタニティリングです。

フチありと似ていますが、爪が一切ありません。
すべて地金同士の挟みでダイヤを固定してあります。

ダイヤひとつひとつがはっきりと見て取れますが、それは前面だけで、ダイヤのサイド部分はレールで覆われているために表に現れていません。

フチありよりましでしょうが、爪留めに比べ露出が高いとは言えません。

使い勝手とダイヤの輝きは反比例する

以上の説明でご理解いただけたと思いますが、使い勝手がいいように工夫されたフチありとレール留めですが、その反面ダイヤの露出度を減らし、輝きも低下させるという結果を招いてしまったのです。

ではフチありやレール留めのエタニティリングに輝きを期待するのは無理かというと、そうではありません。

ダイヤの品質が確かなものであれば、これらのエタニティリングでも十分輝きます。

次に、フチありやレール留めのエタニティリングが輝くためにはどのようなダイヤが付けられていればいいか述べさせて頂きます。

ダイヤが輝く条件

ダイヤには、よく輝くダイヤもあればあまり輝かないダイヤもあります。

その違いはダイヤの質によります。

ダイヤにはその価値を測る4C評価なるものがあります。

カラット(重量)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨・プロポーション)の頭文字をとって4Cと呼びますが、この中のクラリティとカットがダイヤが輝くうえで重要なカギとなるのです。

まずは、このクラリティとカットについて説明させて頂きます。

クラリティについて

クラリティとはダイヤの透明度を表す指標です。

ダイヤは天然鉱物ゆえ、必ずインクルージョン(内包物)が存在します。

このインクルージョンが多いダイヤは透明度が低くなり、反対に少ないダイヤは透明度が高くなります。

つまりクラリティとは、インクルージョンの多い少ないのグレードを表したものなのです。

クラリティは11段階にランク付けされます。

インクルージョンの全くないFL(フローレス)を最高とし、インクルージョンの量が増えるにしたがい、IF、VVS1、VVS2、VS1というふうにランク付けされるわけです。

では透明度が高いダイヤのクラリティはどのランク以上かというと、「SIクラス」以上のものです。

SIクラスというのは表でもおわかりのように、肉眼で発見が困難なほどインクルージョンが微小なため、光の透過にそれほど影響を与えることはありません。

しかしその下の「Iクラス」になると、肉眼での発見が容易なほどインクルージョンが大きいため、光の透過を邪魔してしまい、輝きも劣ってしまうのです。

言葉だけの説明ではわかりにくいと思いますので、実際に比較画像を見てみましょう。

左がSIクラス、右がIクラスのダイヤです。
明らかに透明度が違うでしょう。

このように、クラリティがSIクラス以上のものは透明度が高いダイヤといえます。

ただし、透明度の高さだけではダイヤの輝きは保証されません。

ダイヤの輝きはこの透明度のほかに、次に説明するカットが重要になります。

カットについて

採掘されたダイヤの原石は、一見スリガラスのようです。

それが人間の手によってあのような素晴らしい輝きを放つ石になるのです。

その方法が、ラウンドブリリアントカットというカット法です。

しかしラウンドブリリアントカットすれば何でも輝くというものではありません。

カットの良し悪しによって輝いたりそうでなかったりするのです。

Excellentカットされたダイヤに光が入射すると、光はダイヤ内で漏れることなく反射され、再びダイヤ外へ放射されます。これを全反射といいます。(下イラスト左参照)

しかしダイヤのカットが深すぎたり浅すぎたりすると、光は全反射せずダイヤ底部より漏れてしまい輝きが劣ることになるのです。

これがカットの良し悪しによる輝きの違いです。

ダイヤ内の光が全反射するためには、その理想となるプロポーションが存在し、それが以下の比率で構成されています。

ダイヤは、この構成比率に近くて研磨状態が良好なものから、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとランク付けされます。

ではダイヤが輝くためにはカットはどのランク以上のものがいいかというと、「Good」以上のダイヤなら輝くといえます。

FairやPoorカットのダイヤはプロポーションに問題があり、輝くとは言えません。

よってダイヤが輝くためには、カットがGood以上必要なのです。

フチあり、レール留めに付けるダイヤの条件

以上の説明でおわかり頂けたと思いますが、ダイヤが輝くためにはクラリティSIクラス以上、カットGood以上必要です。

この条件をクリアしたダイヤであれば間違いなく輝きます。

つまり周囲を地金で閉ざされたフチありやレール留めのエタニティリングであっても、このような質のダイヤであれば十分輝くというわけです。

以下に、輝くダイヤが装填されたフチあり、レール留めのエタニティリングをご紹介します。

参考までにご覧ください。

フチありエタニティリング

レール留めエタニティリング

まとめ

エタニティリングの使い勝手とダイヤの輝きは反比例するを解説させて頂きました。

参考になりましたでしょうか。

このページが皆様のお役に立てれば幸いです。

最後までお読み頂き、真に有難うございました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする