何物をも身にまとわない裸のダイヤ、ルースダイヤモンド。
そして6本の爪でがっちり留められた爪留めのダイヤモンド。
仮にこの二つのダイヤモンドをそれぞれネックレスにした場合、ダイヤの輝きは全然違ったものになります。
このページでは、ルースダイヤモンドと爪留めダイヤモンドの輝きの違いについて述べてみたいと思います。
爪留めダイヤの輝きは一方向
通常ダイヤモンドをネックレスにするときは、ダイヤは爪で留められます。
6本爪が主流で、ダイヤが露出しているのは主におもて面だけ。
ダイヤの側面、裏面は、爪及び地金で隠れているため、側面(ガードル)の一部を除いてその姿を見ることはできません。
それゆえダイヤの輝きを確認できるのはおもて面に限られます。
ダイヤを横から見ると下のイラストのようになるわけですが、ダイヤの名称でいえばクラウン部分からの輝きだけが確認できるわけです。
ガードルおよびパビリオンは爪、地金で覆われているため輝きを確認できません。
よって爪留めにされたダイヤの場合、輝きのベクトルは上への一方向になり、輝きはダイヤの上からしか確認できないわけです。
これが爪留めダイヤの輝きです。
ただしクラウン部からの輝きは確認できても、輝きの強さに関してはまた別問題です。
次に、爪留めにされるダイヤの選択条件についてお話ししましょう。
輝きの強さはダイヤの品質が関係する
ダイヤのクラウン部に輝きを集中させるためには、ダイヤの品質が大きく関係してきます。
ダイヤの品質は4Cで表されますが、その中の透明度を示すクラリティと研磨・プロポーションを示すカットがそれぞれSIクラス以上、Good以上なければクラウン部に輝きを集中させることはできません。
下のイラストをご覧ください。
矢印はダイヤ内に入射した光のベクトルを示すものですが、Excellentカットされたダイヤに光が入射すると光は漏れることなくダイヤ内で反射され、再びダイヤ外へ放射されます。
これを全反射といいますが、ダイヤのカットが深すぎたり浅すぎたりすると光はダイヤ外へ漏れてしまい、あまり輝かないものになってしまうのです。
全反射するにはカットが少なくともGood以上必要で、これ未満ならあまり輝かないダイヤになってしまいます。
またダイヤの透明度も重要で、インクルージョン(内包物)の多いダイヤは光の透過が悪くなり、あまり輝きません。
少なくともクラリティSIクラス以上なければ光のスムーズな透過は難しく、あまり輝かないものになってしまいます。
ちなみに実物画像を比較してみますと、左がSIクラス、右がIクラスのダイヤです。
透明度の違いが見て取れるでしょう。
つまり爪留めにされるダイヤの場合ダイヤの品質も重要な選択要素で、どんなダイヤであってもよく輝くわけではないのです。
ルースダイヤの輝きは全方向
ダイヤをルース(裸石)のままネックレスにする。
普通はそんなことはできないのですが、レーザーで穴をあけたダイヤモンドならそれが可能です。
これをレーザーホール留めダイヤネックレスというのですが、このネックレスならダイヤはほぼルース状態です。
このダイヤネックレスの場合のダイヤの輝きはどうか。
見てみましょう。
光を全方位から取り込むルースダイヤモンド
そもそもダイヤが輝くのは光の反射によるものです。
ダイヤ自らが光を発しないのは自明の理で、光を浴びてこそダイヤは輝きます。
そしてその光の反射量は入射量に比例し、入射する光の量が多ければそれだけ輝きます。
全身に何物をもまとわないルースダイヤ場合、光は全方位から入射します。
そしてその光はダイヤの表面やダイヤ内で反射され、ダイヤ外へ放射されるわけです。
それも四方八方へと。
爪留めダイヤの輝きのベクトルが一方向だけに対し、ルースダイヤのそれは全方向に向けられます。
光を全方位から取り込んだルースダイヤは、その取り込んだ光を反射させ全方向に放射する。
これがルースダイヤの輝きです。
そして特筆すべきは、爪留めダイヤのようにダイヤのカット品質を重要視しないということです。
次に、ルースダイヤの選択条件についてお話しします。
カットの悪いダイヤでも透明度がよければOK
ダイヤ全体から光を放射しなければルースダイヤの良さを表現できないわけですから、カット品質が少々悪くても問題はありません。
むしろ光がダイヤのあちこちで漏れる方がよく輝いて見えるかもしれません。
ただ透明度の悪いダイヤはいただけません。
透明度の悪さは光の透過の妨げになり、結果輝きの妨げになります。
それゆえダイヤの透明度は上で示したように、クラリティがSIクラス以上なければなりません。
この条件がそろえば、ルースダイヤの本領が発揮されることになるのです。
まとめ
ルースダイヤと爪留めダイヤの輝きの違いについて述べさせていただきました。
いかがだったでしょうか。
参考になりましたでしょうか。
このページが皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、真に有難うございました。