エメラルドグリーンと形容される美しい緑色の宝石エメラルド。
若者から中高年に至るまで幅広い年代層に人気があり、ファッションリング、ピアス、ネックレス等、多くのアクセサリーに用いられています。
しかし色石にみられるごとくこのエメラルドも選択が難しく、選択を間違えばあとで後悔することにもなりかねません。
そこでこのページでは、おすすめできるエメラルドの条件と題して、その選び方を解説させて頂きます。
エメラルドはクラック・インクルージョンが多い宝石
天然宝石には必ずクラック(亀裂)やインクルージョン(内包物)が存在します。
このエメラルドも例外ではなく、いやむしろ他の宝石以上にそれが顕著で、インクルージョンのないエメラルドを探すのは、欠点のない人間を探すよりも難しいと言われるほどエメラルドにはキズが付き物なのです。
これはエメラルドという鉱物の特性に関係しており、エメラルドはもともとベリルという鉱石で不純物が含まなければ無色でキズが少ない鉱石です。
ところが結晶時に不純物が混入すると成長過程に無理が生じ、亀裂が発生してしまうのです。
しかし亀裂の発生の原因とされるこの不純物は、同時にベリルをエメラルド色に変化させるという相反する働きも持ち合わせているのです。
つまりエメラルド内に混入する不純物はコインの裏表で、表裏一体といえるものなのです。
これがエメラルドにはクラックやインクルージョンが多いという理由で、ある意味エメラルドはクラック・インクルージョンからは避けられない鉱石といえます。
割れの原因になるクラック、インクルージョン
クラックやインクルージョンからは避けられないエメラルドですが、ある程度の存在は許されるとしてもこれが多すぎるとエメラルドの耐久性に問題が生じます。
一般にものの硬さを測る指標にモース硬度があります。
一番硬い鉱石はモース硬度10のダイヤモンドで、エメラルドは7.5‐8.0です。
しかしモース硬度は表面の硬さを示すもので、耐久性にはあまり関係ありません。
耐久性を測るのは靭性と呼ばれるもので、一番靭性の高いものはコランダム、つまりルビーやサファイアといった類のものが一番耐久性が高い鉱物で靭性は8です。
一番モース硬度が高いダイヤモンドの靭性は7.5で、耐久性に関してはルビーやサファイアに劣るのです。
ではエメラルドの靭性はどうかというと、5‐5.5です。
まあそこそこの耐久性を有しているといえますが、ルビー、サファイアにははるかに劣る鉱物といえます。
しかしそこそこの靭性を有しているエメラルドであっても、ここにクラックやインクルージョンが多くあると事情は異なります。
エメラルド内の亀裂が原因で割れることにもなりますので、衝撃には十分注意しなければならないのです。
おすすめできるエメラルドの条件 その1
ここまでお読みになってすでにおわかりのことと思いますが、エメラルドを選ぶときの条件その1は、クラックやインクルージョンが少ないものを選ぶことです。
先述しましたようにエメラルド内にあるクラックやインクルージョンは耐久性に問題を生ぜしめ、少しの衝撃でも割れの原因にもなりますので、できるだけこれらの少ないものを選ぶのが望ましいといえます。
またクラックやインクルージョンの存在は耐久性だけにとどまりません。
宝石の命であるエメラルドの美観も損ねることにもなります。
エメラルドに限らず色石は色味と透明度が命で、透明度に影響を与えるクラックやインクルージョンは邪魔な存在です。
できるだけこれらが少ないものを選ぶ方が賢明といえます。
エメラルドにはオイル処理がされている
先述したようにエメラルドはクラックやインクルージョンが多い宝石です。
これがためにエメラルドの耐久性を落とし、美観を損ねる原因ともなっています。
そしてそれをカバーする方法として取られているのが、オイルや合成樹脂を含侵させるという処理法です。
実にほとんどの天然エメラルドにはこのオイル処理がされているというのが実情で、このオイル処理により、エメラルド内にあるクラックやインクルージョンを目立たなくして品質を高めているのです。
これはいわゆる人工処理ですが、宝石本来の美しさを取り戻すという目的のもと、天然宝石が本来もっている性質を損なうことのない範囲での人工処理とみなされ、認められています。
それゆえ鑑別機関がこのオイル処理したエメラルドを鑑別しても天然エメラルドと認定されます。
ただし「透明度の改善を目的とした処理が行われています。」などの記載が付記されますが。
このオイル処理はエメラルドにおける通例処理として扱われ問題はないのですが、別の問題として取扱いに注意すべきことが発生してくるのです。
超音波洗浄は厳禁
通常、宝石洗浄に用いられる超音波洗浄は、このオイル処理したエメラルドには厳禁です。
なぜなら含侵させたオイルが抜け落ちてくるからです。
オイルが抜け落ちるとどうなるか。
クラックやインクルージョンが目立って透明度が悪くなり、エメラルドの美観は著しく損なわれる結果となります。
またオイル処理されたエメラルドは非常にデリケートなため、超音波洗浄だけが厳禁なわけではありません。
汚れたからといって石鹸水でゴシゴシ洗うのも厳禁で、洗浄するときは静かに洗い流すといった方法を取った方が無難といえます。
乾燥に注意
オイル処理エメラルドのもうひとつの注意点は乾燥です。
エアコンなどの風や日光が直接当たる場所への放置はエメラルドの乾燥につながります。
エメラルドが乾燥すればどうなるか。
洗浄と同じくオイルが抜け落ち色あせの原因になります。
エメラルドのリング、ピアス、ネックレス等のアクセサリーはそのまま放置することなく、キッチリとジュエリーボックスに保管することを心掛け、またできれば湿度調節が可能な桐箱への保管が望ましいといえます。
おすすめできるエメラルドの条件 その2
実に99%のエメラルドがオイル処理されているという現実。
そのため洗浄や乾燥にことさら気を付けなければならないというのがエメラルドという宝石なのです。
それゆえおすすめできるエメラルドの条件その2としては、オイル処理がされていないエメラルドということ。
これなら洗浄や乾燥に気を遣う必要はなく、色の褪色にも心配はいりません。
しかし現実にはこれは不可能です。
天然のエメラルドでは。
しかし京セラが開発したクレサンベールのエメラルドならオイル処理がされていません。
それゆえ先ほどお話ししたオイル処理エメラルドにおける問題点も解消するのです。
ではクレサンベールのエメラルドにはどういったメリットがあるのでしょうか。
まずはクレサンベールができるまでをご説明申し上げ、メリットについてお話ししたいと思います。
クレサンベールのできるまで
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、オイル処理などの人工処理が行われています。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したエメラルドだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールのメリット
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
※ エメラルドなどはオイル処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
クレサンベールエメラルドのメリット
以上、クレサンベールの説明からおわかり頂けたと思いますが、
クレサンベールのエメラルドはまず第1にクラック(亀裂)、インクルージョン(内包物)がほぼない。
そして第2に色むらがない。
そして第3にカラーが深緑で統一されている。
第4にオイル処理などの人工処理が施されていないため、経年による色調劣化がない。
色艶とも半永久的に保てる。
というのがクレサンベールのエメラルドのメリットです。
まとめ
おすすめできるエメラルドの条件と題して、エメラルドの選び方を解説しました。
結局のところ天然エメラルドにはクラックの多さによるオイル処理が根底にあり、これが根っことなって問題がたくさんでてきます。
それゆえおすすめできるのは人工処理の全くないクレサンベールのエメラルドしかなく、美観、耐久性どれをとってもこれに勝るものはなく、唯一安心してお買い物ができるエメラルドだといえます。
天然、人工という枠にとらわれることなく、宝石の最も重要な美観という視点から見ればこのエメラルドが一番だといえるでしょう。
最後に、クレサンベールのエメラルドネックレスを紹介し、このページを閉じたいと思います。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。