数年前、一世を風靡したネックレス、ダンシングストーン。
僅かな揺れにも反応し、中石が揺れることによって輝くという画期的なこのストーンネックレスは、一躍脚光を浴びました。
発売当初はキュービックジルコニアを中石にし、地金はシルバー925を台座にしたものでしたが、次第に本物志向が高まり、ダイヤやルビーといった天然宝石をセッティングしたものが売り出されるようになりました。
しかし予想に反して売り上げは伸び悩み、ジルコニアのダンシングストーンに比べ天然宝石の方はイマイチ売り上げが振るわなかったようです。
その理由は、中石に使う宝石の大きさに原因がありました。
その宝石の大きさとは?
このページでは、ダンシングストーンにする宝石に必要な条件についてお話しをさせて頂きたいと思います。
宝石の大きさが重要
発売当初のダンシングストーンネックレスは、キュービックジルコニアを使ったものでした。
台座もシルバー925を使い、どちらかといえばアクセサリー感が強いネックレスでした。
ちなみにこの時セッティングしていたキュービックジルコニアの大きさをご存知ですか?
大きさは、直径にして5㎜~6.5㎜のものがほとんどでした。
ではなぜこの大きさにしたのかおわかりですか?
それは揺れが確認できる大きさだからです。
揺れ幅は石の大きさに比例し、石が大きいほど揺れ幅は大きくなります。
よって揺れも確認しやすくなります。
しかし石が小さいと揺れ幅も小さくなり、揺れが確認しづらくなるのです。
つまり石があまりにも小さいと、揺れが全く確認できなくなるのです。
こうなるとダンシングストーンの魅力は半減します。
ダンシングストーンの魅力は、中石が揺れて輝くこと。
しかし揺れが確認できなくなると、もはやダンシングストーンには見えず、単なるストーンネックレスに見えてしまうのです。
天然宝石をセッティングしたときの失敗もまさにこれが原因です。
価格を抑えようとするあまり、宝石の大きさを小さくしたのです。
最初売り出されたダイヤのダンシングストーンは、ダイヤが0.1ct~0.2ct程度のもので、小さいものになると0.05ctのものもありました。
これを直径に換算すると3㎜程度のダイヤということになります。
これではダイヤの揺れはわからず、単なる一粒ダイヤネックレスに見えてしまうのです。
揺れがわかるためには0.5ct以上のダイヤが必要
ではキュービックジルコニア5㎜~6.5㎜と同じ大きさのダイヤは何カラットか?
それは上の表からわかるように0.5ct~1.0ctになります。
つまり揺れがわかるためには0.5ct以上のダイヤが必要ということになり、ダンシングストーンの魅力を遺憾なく発揮するには、これ以上のものが必要になるのです。
宝石の透明度が重要
大きさの次に重要なことといえば、宝石の透明度です。
キュービックジルコニアは人工石で、無色透明のきれいな石です。
それゆえ光の透過もよく、反射によってよく輝きます。
キュービックジルコニアを装填したダンシングストーンネックレスがよく輝くのも、透明度が高いからです。
しかし天然石となるとこうはいきません。
天然石には必ずインクルージョン(内包物)が存在し、これが透明度を悪くする原因となっています。
ダイヤをダンシングストーンネックレスに装填したときの失敗は、ダイヤの透明度を考慮することなしにセッティングしたからです。
それゆえ、あまり輝かないダンシングストーンネックレスが出来上がったというわけです。
ダイヤであれば何でも輝くものではありません。
透明度がよく、欲を言えばカットが優れたものでなければダイヤは輝きません。
輝かないといえば語弊がありますので、輝きの劣ったものになるというのが本当のところです。
つまりダンシングストーンにセッティングする宝石の条件は、透明度の高いものに限るということです。
ダイヤならSIクラス以上、Goodカット以上のものを
色石の宝石には透明度を測る指標がありませんが、ダイヤの場合クラリティという指標があります。
このクラリティによってダイヤの透明度の程度がわかります。
結論から言うと、ダンシングストーンにセッティングしてもいいダイヤの透明度は、クラリティでいうとSIクラス以上といえます。
SIクラスというのは表でもおわかりのように、肉眼で発見が困難なほどインクルージョンが微小なため、光の透過にそれほど影響を与えることはありません。
しかしその下の「Iクラス」になると、肉眼での発見が容易なほどインクルージョンが大きいため、光の透過を邪魔してしまうのです。
言葉だけの説明ではわかりにくいと思いますので、実際に比較画像を見てみましょう。
左がSIクラス、右がIクラスのダイヤです。
明らかに透明度が違うでしょう。
つまりSIクラス以上のダイヤなら透明度も高く、ダンシングストーンにセッティングするに相応しいダイヤといえます。
ただし、透明度だけ良くてもダイヤは輝かないということを付け加えておきます。
ここにGoodカットが揃って、初めてダイヤは輝くといえます。
次に、ダイヤが輝くのになぜGoodカットが必要かを知って頂くため、カットについて少し説明させて頂きます。
カットについて
Excellentカットされたダイヤに光が入射すると、光はダイヤ内で漏れることなく反射され、再びダイヤ外へ放射されます。これを全反射といいます。(下イラスト左参照)
しかしダイヤのカットが深すぎたり浅すぎたりすると、光は全反射せずダイヤ底部より漏れてしまい輝きが劣ることになるのです。
これがカットの良し悪しによる輝きの違いです。
ダイヤ内の光が全反射するためには、その理想となるプロポーションが存在し、それが以下の比率で構成されています。
ダイヤは、この構成比率に近くて研磨状態が良好なものから、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとランク付けされます。
FairやPoorカットのダイヤは先ほどイラストで表したカットが深すぎたり浅すぎたりするダイヤに属し、よく輝くダイヤとは言えません。
よってよく輝くダイヤといえるのは「Good」以上のものといえます。
まとめ
ダンシングストーンの宝石の大きさは5㎜以上のものが相応しい。
そして欲を言えば、透明度の高い宝石が望ましい。
ということです。
ダンシングストーンの魅力が発揮されるのは、この二つが揃うことが条件です。
そうでないとダンシングストーンの魅力は半減してしまいます。
いかがだったでしょうか。
参考になりましたか。
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最後までお読み頂き、真に有難うございました。