深紅の宝石ルビー。
その妖艶な輝きは周囲を魅了し、必ず二度見されるほどの美しさを持っています。
しかしルビーに大事なのは、色味と透明度。
魅力的といわれるルビーでも、この二つが揃わなければ妖艶さは半減し、二度見されることもなくなります。
ルビーの理想的な色味はピジョンブラッド。
いわゆる鳩血色のものが最高といわれ、また透明度に関してはインクルージョン(内包物)が極力少ないものが理想的です。
しかし0.1ctクラスのルビーにはこのようなハイレベルのものがあっても、1カラットとなると見つからないし、またたとえ見つかったとしても高額な値段が付いていると予想されます。
では実際に1カラットのルビーネックレスがどの程度で、いくらくらいの値段が付いているのか楽天で見てみましょう。
楽天市場での1ct天然ルビーネックレス
楽天で販売されている天然ルビーネックレス1カラットばかりをチョイスしました。
脇石のダイヤがあるかないかで価格に差が出ていますが、共通しているのは写真で見る限り透明度があるとは言えません。
また色に関して言えば、赤というより紫がかった赤といった方がよく、理想のカラー ピジョンブラッドには程遠いといえるルビーばかりです。
ですが正直なところ、ルビー1カラットとなるとこれが限界なのです。
良質のルビーの産出は減少しており、それゆえほとんどのルビーは加熱処理をして色艶をあげているのが実情で、稀に非加熱ルビーというのがありますが、1カラットほどの大粒のものはなく、ほとんどが0.1カラット程度の小粒のものばかりです。
それゆえ1カラットほどの大粒のルビーで良質なものはほとんどなく、天然という枠の中で探すのは非常に難しいといえるのです。
1ct合成ルビーネックレス
楽天で「1カラット ルビーネックレス」と検索すると合成ルビーネックレスも同じようにヒットします。
そして総覧して気付くのは、天然よりもむしろ合成ルビーの方がヒット数が多く、いかに1ctの天然ルビーが少ないかがこれによって理解できます。
では、1カラットのルビーネックレスが天然では十分満足できるものではないので、合成ならどうでしょうか。
合成ルビーからそれを探ってみましょう。
楽天市場での1ct合成ルビーネックレス
1ct合成ルビーネックレスを楽天よりチョイスしました。
当然のことながら価格は天然ルビーよりはるかに安く、しかも合成ゆえ色も整えられ透明度も天然より優れているといえます。
しかしこれらの商品ページをみて疑問に思うことがありました。
それは合成ルビーの成分に関してです。
合成ルビーとは、天然ルビーと同じ化学組成・結晶構造をもつ人工ルビーとのことですが、この成分内容に関しての記載が一切商品説明にはない点です。
合成ルビーが定義通りの石ならば、それを証明する確たる科学的データが必要です。
しかしそれらの証明は一切なく、ただ合成ルビーとだけ謳われているだけでは腑に落ちないところがあります。
これでは本当に天然と同じ中身のなのかと勘繰りたくもなります。
1ct再結晶ルビーネックレス
次に検索でヒットが目立ったのが再結晶ルビーでした。
再結晶ルビーとは京セラが開発した人工宝石で、クレサンベールとして売り出されています。
このクレサンベールルビーネックレスの1カラットを見てみたいと思います。
楽天市場での1ct再結晶ルビーネックレス
1ct再結晶ルビーネックレスを楽天よりチョイスしました。
さすが京セラが開発した商品だけあって、カラー透明度、文句が付けようがないほど素晴らしいものです。
それもそのはずで、京セラはルビーについてこう述べています。
クレサンベールのルビーは、天然ルビーの中でも、最も良質であるとされるミャンマー産のものにほぼ匹敵し、ルビーの持つ妖艶な深紅の色彩と純度の高い透明感を見事に表現していますと。(京セラクレサンベール公式ホームページより抜粋)
そしてこのクレサンベールのルビーで特筆すべきは、成分表示が明らかにされている点です。
京セラはクレサンベールについてこう述べています。
クレサンベールと天然の宝石は、化学的・物理的・光学的性質にほとんど違いがないと。
これを裏付ける証拠として、京セラは科学的データを公表しています。
以下はクレサンベールルビーについてのデータです。
化学的性質は同じ
天然ルビーの化学的組成は、Al2O3です。
一方クレサンベールのルビーの化学的組成もAl2O3です。
これは全く同成分ということになります。
これを証拠づけるものとしてX線回折、分光分析を行っており、天然石と同一という結果が出ております。
物理的性質も同じ
天然ルビーの結晶系は六方晶系ですが、クレサンベールのルビーも全く同じです。
そして硬度(モース)も同じ9、比重は天然3.90~4.01に対してクレサンベールルビーは4.01でほぼ同じ、融点に関しても同じ2050℃という結果が出ています。
このように物理的性質もほぼ同じといえます。
光学的性質も同じ
さらに光学的性質について見てみますと、
天然ルビーの屈折率は1.760~1.768に対し、クレサンベールのルビーの屈折率は1.762~1.770という結果が出ています。
つまり屈折率もほぼ同じ。
そして複屈折は天然は0.008に対しクレサンベールでは0.008という結果。
これも同じです。
以上のデータは、すべて京セラクレサンベールの公式ホームページより抜粋したものです。
詳しくは、京セラクレサンベールの公式ホームページをご覧ください。
このようにクレサンベールの人工宝石は、天然宝石と化学的・物理的・光学的にほぼ同じということで、他の人工宝石とは一線を画す宝石といえます。
ではこのクレサンベールを選ぶメリットとは何でしょう。
それにはまず、クレサンベールができるまでの製造工程を知る必要があります。
クレサンベールのできるまで
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、加熱処理などの人工処理が行われています。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したルビーだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールのメリット
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
そしてルビーの色について京セラはこう述べています。
クレサンベールのルビーは、天然ルビーの中でも、最も良質であるとされるミャンマー産のものにほぼ匹敵し、ルビーの持つ妖艶な深紅の色彩と純度の高い透明感を見事に表現していますと。(京セラクレサンベール公式ホームページより抜粋)
つまりルビーのカラーについては自信をもってミャンマー産に匹敵すると述べています。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
たとえばルビーなどは含侵処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、含侵処理は時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
まとめ
1カラットルビーネックレスの選び方を解説しました。
以上の説明からどのルビーネックレスを選ぶのが妥当かご理解いただけたでしょう。
天然、合成、再結晶とある中で一番適したものとなるとやはり京セラの再結晶ルビーでしょう。
色、透明度とも申し分なく、しかも値段はそれほど高くない価格が付いています。
品質が確かでしかも保証されている再結晶ルビー。
これにすぐるものはないといっていいでしょう。
このページが少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。