介護に役立つ座ったままシャンプー

現在私の母は85歳で、要介護5の認定を受け、特養に入所しております。
しかし平成29年に入所するまでは、私が一人で自宅介護をしておりました。

平成22年に父が他界してからずっとですから約7年の自宅介護でした。
はじめは要介護1であった母はデイサービスを利用し、その時お風呂にも介助付きで入れてもらっていました。

しかし年とともに認知症が進み、要介護2、続いて要介護4と認定を受けるようになり私の介護も大変になりました。

当初布団で寝ていた母も、布団からの起き上がりに支障をきたすようになり、私が介添えをして起こしてやりましたが、やがてそれも困難となって介護サービスであるベッドをリースしてもらいました。

電動式でリクライニングできるベッドは介添え者にはありがたい機能で、私の介護も幾分楽になりました。

私は毎朝8時頃に母の実家を訪ねて世話をし、デーサービスに送り出すのが日課でしたが、このベッドのおかげで事がスムーズに運ぶことができました。

朝、到着するとすぐにベッドをリクライニングさせて母の上体を起こし、お茶を一杯あげて水分を補給してもらい、その間風呂場を温めるために浴槽にお湯を注ぎ、湯気で風呂場が温まったころに母を手引きで歩行して風呂場に連れていきます。そして全身を洗ってシャワーで流してあげます。

なぜ朝にお風呂に入れるかというと、おねしょでおしっこ臭くなっているからです。
デイサービスより帰ってきて「おしっこ臭いといわれた」といって悲しい顔をしているのをみて、それから毎日朝お風呂に入れるようにしたのです。

全身を洗うことはしましたが、頭は洗うことはありませんでした。
なぜなら頭にお湯をかけることを極度に嫌ったからです。

デイサービスでお風呂に入る際、ヘルパーさんが介添えしてくださって洗髪できるからいいかなあと思っておりましたが、デイサービスがお休みのときは洗髪ができず、母は不快な想いをしているのではないかと気にかかっていました。

先日、ネットをあれこれ見ていたら、座ったままシャンプーができる機械があるのを発見しました。
自宅にある掃除機をつないで行う装置で、水を一滴もこぼすことなく服を着たまま、横になったまま洗髪ができるのです。

にわかに信じられないものでしたが、動画をみて納得しました。
名前をルームシャンプーといい、これがあれば母の頭を洗ってやることができたのになあと思いました。

デイサービスの場合は毎日お風呂に入れてもらえ頭も洗ってもらえるのですが、ショートステイや特養に入所した場合、お風呂は毎日ではありません。

このルームシャンプーを特養が採用してくれれば、入所している高齢者も喜ぶんじゃないかと思いました。



7年間の自宅介護を経験してみて思うのは、大変なのは介護者ばかりでなく、被介護者も辛いんだろうなということです。

高齢になると、今までできていたことができなくなる。
自分でしたいのに思うようにできない。
それなのに、介護者である私は当初「こんなこともできないのか」といわんばかりに、親に対して横柄に接してきました。

誰が好き好んで下の世話を我が子にさせたいと思いますか?
誰が我が子に風呂に入れてもらいたいと思いますか?
全部自分でしたいのに決まっている。

しかしそれができないのが実情だから身内に甘えるしかなく、その身内が横柄な態度で介護をすれば、親は申し訳なさと情けなさでいっぱいになっているはずなんです。

そんなこともわからず、私は母の介護をしてきました。

私は介護を続けるうちにそんな母の気持ちがわかってくるようになりました。
そして今までの介護の仕方を反省し、途中から母へ愛をこめて介護をするようになったのです。

これは介護した人のみがわかる心境で、親を介護するうちに介護される親の気持ちがわかってくるのです。

世間では介護する人は大変というけれど、それは介護する側の見方で、介護される側も辛いのです。
全部自分でしたいのにできない情けなさ、くやしさが被介護者にはあるのです。
その気持ちを汲んであげて介護にあたることが、本当の介護だと思うのです。

人は誰もが歳をとります。
今介護している人も、いずれ介護される側にまわるかもしれません。

そのことを思えば、親の介護は愛情をもってしてあげないといけないと思うのです。

特養に入所して母は3年目を迎えました。
まもなく86歳になります。

やさしいスタッフに囲まれて、母は穏やかに過ごしています。
私はこの特養のスタッフに心から感謝しています。

いつも母の世話をして頂いてありがとうございます、と心で手を合わせています。
私ができなかったことを代わりにして頂いて、いつも頭が下がってます。

いいスタッフに恵まれて、母も幸せだろうと思います。
お母ちゃん、よかったな。
そして至らぬ介護で申し訳なかったな。

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