普段使いのサファイアリングの選び方

深海を思わせる濃いブルーの宝石サファイア。

9月の誕生石としても知られ、その色合いはピンク、オレンジなどがあるが、一般にサファイアといえばこのブルーのものが当てはまる。

ダイヤのような煌びやかさはないが、その静かに青く輝くさまは大人の気品を漂わせ、フォーマルの場にふさわしい宝石といえます。

ただ自分の誕生石に当たる9月生まれの人にとっては、普段からお守り代わりに身に着けたいもの。

そんな普段使いにするサファイアリングを選ぶ時、どんなことに気を付けなければならないか?

このページでは、普段使いにするサファイアリングの選び方を述べさせて頂きます。

サファイアリングを選ぶときの注意

コランダムから産出されるルビーやサファイアには、95%加熱処理が施されています。

これは色合いを良くしたり透明度を上げるために行われる処置で、しかしたとえこの加熱処理がなされていても天然サファイアとして認められています。

その理由は市場性が関係しており、この処理を行わないと良質なルビーやサファイアが極端に少なくなり、市場が成立しないからです。

採掘されるルビーやサファイアはそのまま商品化できるほどきれいではありません。

あらゆる不純物の混入によって、黒みがかったり褐色味を帯びていたりしてそのままでは商品化できないのです。

そこで取られた方策が加熱処理という方法で、これによりルビーやサファイアの市場は拡大し、成立することになったのです。

つまりこの加熱処理は市場が成立するうえで、ある意味仕方がない処理法だったのです。

しかし許される処理法はここまでで、これ以上になるともはや天然サファイアと呼べるに値しないものとなってしまうのです。

表面拡散加熱処理

宝石の色を変えたり色調を変えるために、加熱処理時に人為的に特定の元素を加え、宝石の表面に拡散・浸透させる加熱処理法を表面拡散加熱処理といいます。

たとえば無色のコランダム(ルビーやサファイア)にチタンやクロムといった着色元素を加熱処理時に加えると、色を石表面に浸透させることができます。

このサファイアは、見た目はブルーでもそれは表面だけで、カットすれば中身は無色のコランダムが現れてきます。

こうなるともはやサファイアとは言えず、天然宝石ともいえないでしょう。

こういった処理に関しては商品説明の中での記載が義務付けられており見分けるのは容易いですが、もし表面拡散処理と記載があれば選ばないようにしなくてはいけません。

大抵このような商品は、カラット数のわりに極端に安い価格が付けられています。

含侵処理

サファイアの透明度をよくする目的で行われているのがこの含侵処理。

鉛ガラスをサファイアのクラックやインクルージョンに含侵させ、透明度をアップさせるという処理。

しかしこの含侵処理されたサファイアは、重量や耐久性などに影響を及ぼすことが懸念されており、事実酸に弱いという報告も見られます。

この含侵処理されたサファイアは、鑑別書においては「含侵を認む。」と表記されるため見分けるのは容易いですが、商品説明では省いているときもあるため、十分な注意が必要です。

このサファイアに関しても、カラット数のわりに価格が安いというのが特徴で、あまり安いサファイアリングの場合、商品説明や添付されている鑑別書の中身をよく見る必要があります。

サファイアリング選び方のポイント

サファイアリングを普段使いにする。

普段使いだから日常ほとんど着けている。

そうなると求められるのは耐久性。

日光や水を浴びることも多く、日常着けていると汗も付着することもある。

このような環境下にあるサファイアですから、先ほど申し上げた表面拡散加熱処理や含侵処理されたサファイアのリングは避けなければなりません。

表面拡散加熱処理されたサファイアの場合、経年による劣化が憂慮されます。

含侵処理されたサファイアの場合、酸に弱いという報告があることから汗に注意しなくてはいけません。

酸とは汗です。

汗が付着すると変色もあり得るのです。

これは普段使いだけに限ったことではなく一般的にいえることなのですが、加熱処理以外の処理法は受け入れてはいけません。

安いからという理由だけで買うと、それこそ安物買いの銭失いになってしまいます。

気をつけましょう。

サファイアには美観を求める

天然宝石と呼ばれるものにはすべてクラック(キズ)やインクルージョン(内包物)があり、色石に関しては色むらがあります。

これは天然物ゆえ仕方のないことで、またこれがあるからこそ天然宝石として価値が高いと人は言います。

しかしいくら価値が高いからといって、肝心の見た目が悪ければファッションとして成立しなくなります。

たとえばダイヤモンドにキズがありインクルージョン(内包物)があるとします。

そして色も無色ではなく、少し黄色味がかっている。

しかしこれは天然の証であるから価値は高い。

でも身につけた時にダイヤが輝かなければどうでしょう。

いくら天然ダイヤで価値が高くても、ファッションとしては成立しなくなります。

色石に関してもこれと同じで、いくら天然のサファイアといってその価値を誇っても、肝心の見た目が悪ければ何にもなりません。

やはり宝石は見た目です。

如何に美しいかで判断しなくてはいけません。

天然サファイアの場合、必ず色むらがありインクルージョンがあります。

天然ゆえ仕方のないことですが、これがサファイアの美観を損ねています。

それゆえ色むらのない、インクルージョンがほとんどないものを見つけなければなりません。

しかし天然サファイアでは無理です。

美観を天然サファイアに求めるのは不可能に近いです。

最初に申し上げたように、美観がないからこそ加熱処理なるものが施され、それによって美観を取り戻しているのですから。

では美観のあるサファイアリングはないのでしょうか?

天然サファイアではありません。

しかし人工的に作られた再結晶宝石ならあります。

それがクレサンベールのサファイアリングです。

そのままで美しいクレサンベールサファイア

クレサンベールとは京セラ独自の技法で作られた再結晶宝石で、俗にいうシンセティック宝石とは一線を画しています。

どの部分が一線を画しているかというと、同じ再結晶宝石でもその製造法、成分、科学分析をすべて公表している点です。

他のシンセティック宝石は、同じ成分と謳いながらその内容を明らかにしていない点で疑問が残ります。

しかし京セラのクレサンベールの再結晶宝石はすべてを明らかにしているため信用できるのです。

ここにクレサンベールのサファイアについての内容を、京セラクレサンベールの公式ホームページより抜粋して明らかにさせて頂きます。

京セラはクレサンベールについてこう述べています。

クレサンベールと天然の宝石は、化学的・物理的・光学的性質にほとんど違いがないと。

これを裏付ける証拠として、京セラは科学的データを公表しています。

化学的性質は同じ

天然サファイアの化学的組成は、Al2O3です。

一方クレサンベールのサファイアの化学的組成もAl2O3です。

これは全く同成分ということになります。

これを証拠づけるものとしてX線回折、分光分析を行っており、天然石と同一という結果が出ております。

物理的性質も同じ

天然サファイアの結晶系は六方晶系ですが、クレサンベールのサファイアも全く同じです。

そして硬度(モース)も同じ9、比重は天然3.90~4.01に対してクレサンベールサファイアは4.01でほぼ同じ、融点に関しても同じ2050℃という結果が出ています。

このように物理的性質もほぼ同じといえます。

光学的性質も同じ

さらに光学的性質について見てみますと、

天然サファイアの屈折率は1.760~1.768に対し、クレサンベールのサファイアの屈折率は1.762~1.770という結果が出ています。

つまり屈折率もほぼ同じ。

そして複屈折は天然は0.008~0.010に対しクレサンベールでは0.008という結果。
これもほぼ同じです。

以上のデータは、すべて京セラクレサンベールの公式ホームページより抜粋したものです。

詳しくは、京セラクレサンベールの公式ホームページをご覧ください。

このようにクレサンベールの人工宝石は、天然宝石と化学的・物理的・光学的にほぼ同じということで、見た目だけ同じという人工宝石とは一線を画す宝石といえるのです。

ではこのクレサンベールを選ぶメリットとは何でしょう。

それにはクレサンベールができるまでの製造工程を知る必要があります。

クレサンベールのできるまで

京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。

それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。

以下にその工程を説明します。

不純物の除去

まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。

そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。

つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。

こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。

原鉱石を溶かす

次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。

地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。

そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。

しかし京セラはこう述べています。

科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。

結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。

こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。

厳選・カッティング

次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。

色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。

カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。

そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。

しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。

品質検査

研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。

GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。

そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。

つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。

完成された再結晶宝石

天然では成しえることができない美しさをもった宝石。

それがクレサンベールの再結晶宝石です。

人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。

それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。

マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。

しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、加熱処理などの人工処理が行われています。

しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。

科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したサファイアだから人工処理せずとも美しいのです。

クレサンベールのメリット

クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ

クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。

つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。

媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。

屈折率は以下の数式で産出されます。

屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。

臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。

放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)

水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。

②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。

この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。

ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。

話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。

屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。

カラーが均一

天然宝石にはどうしても色むらがあります。

濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。

それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。

しかしクレサンベールの場合は違います。

クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。

すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。

それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。

色調が退化しない

天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。

たとえばエメラルドなどはオイル処理を施して艶をあげています。

最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。

しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。

したがって半永久的に色調が変わらないといえます。

インクルージョン(内包物)がほとんどない

天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。

これは天然物ゆえ仕方がないことです。

しかしクレサンベールは違います。

再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。

つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。

まとめ

普段使いのサファイアリングにはクレサンベールが相応しいといえます。

完成されたサファイアには一切人工処理は施されず、しかも色むらのないインクルージョンの極めて少ないものだけを厳選したものですから、最高の美観をもったサファイアリングといえるでしょう。

そして人工処理していないから経年による劣化はなく、半永久的にその美しさを保つことができます。

いかがだったでしょうか。

参考になりましたでしょうか。

最後に普段使いに相応しいサファイアリングを紹介し、このページを閉じたいと思います。

最後までお読み頂き、真に有難うございました。

クレサンベールサファイアリング

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