昔は結婚10周年にスイートテンダイヤリングを贈る風潮がありました。
0.1ctのダイヤが10粒並んだダイヤリングで、合計1カラット。
女性があこがれる1カラットダイヤリングを、結婚10周年を記念して贈るというものでした。
しかし今ではエタニティリングが取って代わり、スイートテンダイヤリングという呼び方が少なくなってきたように思えます。
それでもエタニティリングの中にはそれを意識して作られたものが多く、10粒の1ctエタニティリングが多く販売されています。
この中からスイートテンダイヤリングに代わるものを見つければいいのですが、問題は、数が多すぎてご主人が選ぶのに苦労することです。
そこでこのページでは、結婚10周年に贈る10粒の1ctエタニティリングの選び方を、元宝石商の私がわかりやすく説明させて頂きます。
ダイヤリングはピンキリ
ダイヤリングに限らず、ダイヤ製品はすべてピンからキリまであります。
エタニティリングも例外にもれず、ピンキリがあります。
まずは、下の1ctのエタニティリングをご覧ください。
最高グレードのダイヤをセッティングしたエタニティリングで、ダイヤが美しく輝くエタニティリングといえるでしょう。
価格は503,800円で販売されています。
そして次をご覧ください。
ダイヤの品質表示が明らかにされていない1ctエタニティリングです。
ダイヤの品質がわからないため、ダイヤが期待通り輝くかどうかは不明です。
価格は129,800円で販売されています。
ご覧のように、ピンとキリではこれだけの値段の開きがあります。
結婚10周年に贈るエタニティリングですから、いいものを贈りたい!
できたら価格も抑えられたら。
そう誰しも思うことでしょう。
ご予算のある方なら50万円のエタニティリングにすればいいですが、そうでない方にとってはとても手が届く商品ではありません。
そうかといって値段の安い129,800円にしたら、おそらく後悔します。
なぜなら、装填されているダイヤが輝くという保証がないからです。
こういうものを結婚10周年に贈るわけにはいきません。
ではどこを基準に選べばいいのか?
実は、ダイヤが美しく輝く最低ラインというのがあります。
それを基準にすれば、容易に選択ができるのです。
ダイヤが美しく輝く最低ラインとは
ダイヤには、その価値を測る指標として4C評価なるものがあります。
4Cとは、カラット(重量)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨・プロポーション)の頭文字をとってそう呼びますが、この中でカラー、クラリティ、カットが、ダイヤが美しく輝くうえで重要な要素となるのです。
まずは、ダイヤの美しさに影響するカラーから説明させて頂きます。
カラーについて
カラーはダイヤの色を表す指標で、無色のダイヤほど高くランク付けされます。
最近では、Very Light Yellowとかブラウンダイヤなどが販売されていますが、要は色のついたダイヤのことであり、価値的に見れば無色のダイヤより劣っていることになります。
ダイヤはやはり無色の方が美しく、その理由はダイヤ内で起こるプリズム効果にあります。
太陽光を含む白色光はプリズムを通せば赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と七色に分かれます。
これは色それぞれの波長が異なるため、屈折によって光が分散されるためです。
この現象がダイヤ内でも起こります。
ダイヤ内に光が入射すると、光の中にある波長の異なる色が屈折によって分散されます。
上質のダイヤモンドを覗き込むと、いろいろな色の光線が発見できます。
これはダイヤ内でプリズム効果がなされているからです。
無色のダイヤに光が入射すると、反射した光はありのままの光線を放ちます。
しかし色のついたダイヤモンドの場合、ダイヤのカラーの影響を受けてしまい、光線を変色させるのです。
これがダイヤの美しさに影響します。
ダイヤに美しさを求めるなら無色の方が望ましく、色のついたものは避けた方が無難です。
ではダイヤが美しくあるためには、カラーがどのランクのものがいいかというと「H」以上のものが望ましいといえます。
同じ「ほとんど無色」に属しているG、H、I、Jですが、IとJはその下の「わずかな黄色」のランクに近いこともあり、やはり幾分黄色く見えます。
プリズム効果にさほどの影響を与えないのは「Hカラー」以上のダイヤといえ、美しいダイヤを求めるならこれ以上のものを選ぶ必要があります。
クラリティについて
クラリティとはダイヤの透明度を表したものです。
ダイヤは天然鉱物ゆえ、必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
このインクルージョンが多いダイヤは透明度が低くなり光の透過率が劣るわけですが、このインクルージョンの多い少ないのグレードを表したのがクラリティなのです。
そしてこのクラリティは11段階にランク付けされます。
インクルージョンの全くないFL(フローレス)を最高とし、インクルージョンの量が増えるにしたがい、IF、VVS1、VVS2、VS1というふうにランク付けされるわけです。
では透明度のあるダイヤとは、クラリティがどの程度なのか?
それはSIクラスです。
以下の表をご覧ください。
SIクラスというのは表でもおわかりのように、肉眼で発見が困難なほどインクルージョンが微小なため、光の透過にそれほど影響を与えることはありません。
しかしその下の「Iクラス」になると、肉眼での発見が容易なほどインクルージョンが大きいため、光の透過を邪魔してしまうのです。
その結果、輝きも劣ってしまうのです。
つまりSIクラス以上のダイヤは透明度が高く、光が透過しやすいダイヤといえます。
ただし、透明度が高いからといって輝きを保証するものではありません。
ダイヤが輝くためには、クラリティSI以上のほかに、次に説明するカットが重要な要素となります。
カットについて
採掘されたダイヤの原石は、一見スリガラスのようです。
それが人間の手によってあのような素晴らしい輝きを放つ石になるのです。
そしてその方法が、ラウンドブリリアントカットというカット法です。
しかしラウンドブリリアントカットすれば何でも輝くというものではありません。
カットの良し悪しによって輝いたりそうでなかったりするのです。
Excellentカットされたダイヤに光が入射すると、光はダイヤ内で漏れることなく反射され、再びダイヤ外へ放射されます。これを全反射といいます。(下イラスト左参照)
しかしダイヤのカットが深すぎたり浅すぎたりすると、光は全反射せずダイヤ底部より漏れてしまい輝きが劣ることになるのです。
これがカットの良し悪しによる輝きの違いです。
ダイヤ内の光が全反射するためには、その理想となるプロポーションが存在し、それが以下の比率で構成されています。
ダイヤは、この構成比率に近くて研磨状態が良好なものから、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとランク付けされます。
ではダイヤが輝くためにはカットはどのランク以上のものがいいかというと、「Good」以上のダイヤなら輝くといえます。
FairやPoorカットのダイヤはプロポーションに問題があり、輝くとは言えません。
よってカットがGood以上のダイヤが、輝くダイヤといえるのです。
ハートアンドキューピットとは
ここでハートアンドキューピットについて説明させて頂きます。
販売されているダイヤ製品の中で、ハートアンドキューピットという記載が見られます。
これは何のことかというと、カットに関する記載です。
素晴らしいカットが施されたダイヤを特別のスコープで覗き込むと、8つのハートとアロー像が確認されることがあります。
これをハートアンドキューピットが現れるダイヤとして重宝されています。
これはプロポーションとシンメトリ(対称性)の良い最高のカットをダイヤに施した場合、8つのハートとアロー像が特殊スコープで確認できるのです。
つまりハートアンドキューピットが現れるダイヤとは、最高のカットが施されたということで、カットグレードでいえばExcellentかVery Goodのカットにあたります。
ハートアンドキューピットと記載があれば、最高のカットが施されたダイヤを使っているという意味です。
ダイヤが美しく輝く最低ライン まとめ
以上の説明でおわかり頂いたと思いますが、ダイヤが美しく輝くためには、カラーがH以上、クラリティがSIクラス以上、カットがGood以上必要ということです。
つまりエタニティリングを選ぶ際は、このダイヤグレード以上のものを選べば間違いはないということです。
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参考までにご覧ください。
まとめ
結婚10周年に贈るエタニティリングの選び方を解説しました。
参考になりましたでしょうか。
このページが皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。