ラインネックレスの中で一番ポピュラーなダイヤ数11ピースについて、過去1カラット、0.5カラットの分野で、品質と価格比較をしてまいりました。
今回は、0.3ctのダイヤラインネックレス11ピースの品質と価格の比較をさせて頂きます。
0.3ct 11ピースのダイヤラインネックレスの場合、二つのカテゴリーに分類されました。
1.ダイヤの品質が、HカラーSIクラスと記載されたもの
2.ダイヤの品質が、ハートアンドキューピットと記載されたもの
通常、ダイヤの品質記載が全くない商品があるのですが、0.3ct 11ピースのラインネックレスに関してはそれがありませんでした。
それでは順次、商品紹介をしながらその品質について説明させて頂きます。
HカラーSIクラスと記載されたダイヤラインネックレス
ダイヤのカラーとクラリティについて記載されたラインネックレスです。
まずは以下の商品をご覧ください。
これらはすべて0.3ct 11ピースのダイヤがセッティングされたラインネックレスです。
そしてダイヤのグレードはHカラー、SIクラスと記載されています。
これはいったいどういう意味かおわかりでしょうか?
そしてどの程度のダイヤかおわかりでしょうか?
わからない人のために、カラーとクラリティについてご説明させて頂きます。
まずはカラーについて。
カラーについて
カラーはダイヤの色を表す指標で、無色のダイヤほど高くランク付けされます。
最近では、Very Light Yellowとかブラウンダイヤなどが販売されていますが、要は色のついたダイヤのことであり、価値的に見れば無色のダイヤより劣っていることになります。
ダイヤはやはり無色の方が美しく、その理由はダイヤ内で起こるプリズム効果にあります。
太陽光を含む白色光はプリズムを通せば赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と七色に分かれます。
これは色それぞれの波長が異なるため、屈折によって光が分散されるためです。
この現象がダイヤ内でも起こります。
ダイヤ内に光が入射すると、光の中にある波長の異なる色が屈折によって分散されます。
上質のダイヤモンドを覗き込むと、いろいろな色の光線が発見できます。
これはダイヤ内でプリズム効果がなされているからです。
無色のダイヤに光が入射すると、反射した光は変色されることなくありのままの光線を放ちます。
しかし色のついたダイヤモンドの場合、ダイヤのカラーの影響を受けてしまい、光線を変色させるのです。
これがダイヤの美しさに影響します。
ダイヤに美しさを求めるなら無色の方が望ましく、色のついたものは避けた方が無難です。
ではプリズム効果を発揮するダイヤカラーとはどの程度のものか。
それはHカラー以上のダイヤです。
以下の表をご覧ください
Hは「ほとんど無色」に属しています。
ほとんど無色には、G、H、I、Jとありますが、IとJはその下の「わずかな黄色」のランクに近いこともあり、やはり幾分黄色く見えます。
それゆえHカラーはプリズム効果が発揮できるギリギリのラインといえます。
つまりHカラー以上のダイヤは、美しいダイヤに属することを意味しています。
Hカラーだけではダイヤの美しさは保証されない
ただしいくらHカラーのダイヤが美しいといっても、透明度の伴わないダイヤは美しいとは言えません。
たとえば、Hカラー、クラリティIクラスのダイヤでは、たとえカラーが無色でも美しいダイヤとはいえません。
ダイヤは、カラーと透明度が伴ってはじめて美しいダイヤといえるのです。
では次に、そのダイヤの美しさに大いに関係するクラリティ(透明度)について説明させて頂きます。
クラリティについて
ダイヤは天然鉱物ゆえ、必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
このインクルージョンが多いダイヤは透明度が低くなり光の透過率が劣るわけですが、このインクルージョンの多い少ないのグレードを表したのがクラリティなのです。
つまりクラリティとはダイヤの透明度を表した指標というわけです。
そしてこのクラリティは11段階にランク付けされます。
インクルージョンの全くないFL(フローレス)を最高とし、インクルージョンの量が増えるにしたがい、IF、VVS1、VVS2、VS1というふうにランク付けされるわけです。
では透明度のあるダイヤとは、どの程度のクラリティであればいいのか?
それはSIクラスです。
以下の表をご覧ください。
SIクラスというのは表でもおわかりのように、肉眼で発見が困難なほどインクルージョンが微小なため、光の透過にそれほど影響を与えることはありません。
しかしその下の「Iクラス」になると、肉眼での発見が容易なほどインクルージョンが大きいため、光の透過を邪魔してしまうのです。
つまりSIクラス以上のダイヤは透明度が高く、光が透過しやすいといえます。
まとめ
以上の説明からおわかりのように、Hカラー、SIクラスのダイヤというのは美しいダイヤに属します。
無色透明という言葉がピッタリくるダイヤといえます。
ただし透明度が高く美しいからといってダイヤの輝きを保証するものではありません。
ダイヤが輝くためには、クラリティSI以上のほかに、カットがGood以上なければならないのです。
カットに関する説明は後述しますが、カットがGood未満のFairになりますと、光がダイヤ底部より漏れてしまい、輝きが劣ることになるのです。
つまりダイヤの美しさと輝きは、また別の話になるのです。
ただ、こちらのラインネックレスのダイヤは、すべて無色透明といえる美しいダイヤであることは間違いありません。
その点を考慮して、買うか買わないか決められればよろしいかと思います。
ハートアンドキューピットと記載されたダイヤラインネックレス
ハートアンドキューピットと記載されたダイヤラインネックレスをまずご紹介します。
このハートアンドキューピットと記載されたダイヤとはどういうダイヤか?
それを知って頂くために、まずはカットについて説明させて頂きます。
カットについて
採掘されたダイヤの原石は、一見スリガラスのようです。
それが人間の手によってあのような素晴らしい輝きを放つ石になるのです。
そしてその方法が、ラウンドブリリアントカットというカット法です。
しかしラウンドブリリアントカットすれば何でも輝くというものではありません。
カットの良し悪しによって輝いたりそうでなかったりするのです。
Excellentカットされたダイヤに光が入射すると、光はダイヤ内で漏れることなく反射され、再びダイヤ外へ放射されます。これを全反射といいます。(下イラスト左参照)
しかしダイヤのカットが深すぎたり浅すぎたりすると、光は全反射せずダイヤ底部より漏れてしまい輝きが劣ることになるのです。
これがカットの良し悪しによる輝きの違いです。
ダイヤ内の光が全反射するためには、その理想となるプロポーションが存在し、それが以下の比率で構成されています。
ダイヤは、この構成比率に近くて研磨状態が良好なものから、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとランク付けされます。
ではダイヤが輝くためにはカットはどのランク以上のものがいいかというと、「Good」以上のダイヤなら輝くといえます。
FairやPoorカットのダイヤはプロポーションに問題があり、輝くとは言えません。
よってカットがGood以上のダイヤが、輝くダイヤといえるのです。
ハートアンドキューピットとは
販売されているダイヤ製品の中で、ハートアンドキューピットという記載が見られます。
これは何のことかというと、カットに関する記載です。
素晴らしいカットが施されたダイヤを特別のスコープで覗き込むと、8つのハートとアロー像が確認されることがあります。
これをハートアンドキューピットが現れるダイヤとして重宝されています。
これはプロポーションとシンメトリ(対称性)の良い最高のカットをダイヤに施した場合、8つのハートとアロー像が特殊スコープで確認できるのです。
つまりハートアンドキューピットが現れるダイヤとは、最高のカットが施されたということで、カットグレードでいえばExcellentかVery Goodのカットにあたるのです。
まとめ
以上の説明でおわかりのように、ハートアンドキューピットと記載されたダイヤというのは、最高のカットが施されたダイヤということです。
ただし、輝くを保証するものではありません。
なぜなら、カットが最高でもダイヤに透明度がなければ光が透過せず、輝かないからです。
輝くためには先述しましたように、クラリティがSIクラス以上必要で、そして美しさを望むならカラーがH以上のものが必要です。
こちらのラインネックレスは、ハートアンドキューピットと記載されたほかには、カラーやクラリティに関しての記載がありませんでしたので、輝くとは言い切れません。
よってその点を考慮して、買うか買わないか決められればよろしいかと思います。
総括
0.3ct 11ピースのダイヤラインネックレスを比較しました。
商品群は、
カラーとクラリティだけ記載されたもの。
カットだけ記載されたもの。
それぞれ一長一短ありますね。
ですが宝石を買うときは妥協が大切です。
どれかに妥協して決めるか、それともいっそ買わないでおくかです。
0.3ctでは納得いくダイヤラインネックレスはありませんでしたが、0.5ct 11ピースでは輝くダイヤラインネックレスがありました。
興味のある方は、そちらをご覧になられることをおすすめします。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。