赤い宝石ルビー。
こんな深紅の石が自然の中から生み出されたとはにわかに信じがたいほど、その美しさは妖艶さに満ちています。
しかし市場に出回る95%のルビーは熱処理が施され、これによって色を改変し色鮮やかなルビーにしているのが実情です。
つまり何の手も加えない本当の天然ルビーと言われるのは5%くらいであり、それ以外のモノは何らかの手が加えられているのです。
片や京セラが世に出している再結晶宝石、クレサンベール。
人工によって宝石が生み出される環境を整え、天然宝石と全く同じ成分でもって作り上げたのがクレサンベールと称する再結晶宝石です。
この天然ルビーとクレサンベールのルビー。
天然と人工との違いはあれ、それ以外の違いとは何でしょう。
そしてどちらを選べばルビーネックレスとしてメリットがあるのでしょう。
このページでは、天然ルビーとクレサンベールのルビーの違いについて、詳しく説明したいと思います。
天然ルビーにみる人工処理の数々
冒頭で申し上げたように、天然ルビーの95%は熱処理が施されています。
この熱処理は昔から行われており、これによって色を良くしルビーとしての商品価値を上げることを目的にして行われてきました。
しかしなぜこんなことをするのか?
その理由は、採掘されたほとんどのルビーの色が悪いからです。
実は産出されるルビーのほとんどは色合いが悪く、そのままの状態では商品にならず市場が成り立たない状態だったのです。
そこでやむなく取られたのがこの加熱処理で、これによって美しいルビーが数多く誕生し、市場が成り立つようになったのです。
つまり加熱処理は、いわば市場確立のためにやむなく取られた方法ということです。
この加熱処理されたルビーは経年による色合いの劣化などがないため、天然宝石と同等の扱いをされております。
しかしルビーの人工処理はこれだけにとどまらないものがあります。
それが含侵処理という処理法です。
劣化のおそれのある含侵ルビー
稀に、含侵ルビーというのが売られています。
含侵処理とは、加熱処理の際、鉛ガラスを含侵させて透明度を良くする処方で、ルビーの人工処理のひとつです。
これは鉛ガラスという不純物を混入させているため、ルビー本来のコランダムの資質と異なる要素が混入していることになり、もはや天然とは言い難いものになっています。
それに酸に弱いという検査データも上がっていることから、汗による色の褪色も考えられ、安いからといって買うとあとで後悔することになります。
含侵ルビーだけは避けた方がいいでしょう。
人工処理の必要がないクレサンベールのルビー
天然ルビーになぜ加熱処理をしなくてはいけないかというと、それはもともとの色が良くないからです。
きれいな深紅色のルビーならそんな必要はありません。
事実加熱処理していないルビーは、非加熱ルビーとして販売されています。
この非加熱ルビーは色合いがいいため加熱する必要がないのです。
クレサンベールのルビーもそうです。
出来上がった再結晶ルビーは深紅で、ルビー最高峰の色と言われるピジョンブラッドですから熱処理をせずとも美しいのです。
天然ルビーには色むらとインクルージョンが必ず存在する
どんな美しいルビーであれ、天然のものには必ず色むらがありインクルージョン(内包物)が存在します。
これは自然から生み出されたものであるからどうしようもありません。
しかしこのどうしよもない色むらやインクルージョンは、ルビーの美しさや輝きに影響を与えます。
真上からルビーを見て、たとえきれいに見えたとしても、角度を変えると色が抜け落ちて見えることがあります。
これは色むらのせいです。
色が石全体に均一になっていないため、こうなるのです。
そしてインクルージョンの存在は光の透過を遮り、輝きを落としてしまいます。
宝石の輝きは光の反射によるものですが、インクルージョンがその光の反射を邪魔し輝きを劣化させるのです。
このように天然のルビーの場合、色むら・インクルージョンは必ず存在し、そしてそれがルビーの美しさや輝きに影響を与えているのです。
クレサンベールのルビーに色むら・インクルージョンは存在しない
ではクレサンベールのルビーではどうでしょう。
クレサンベールのルビーは、色むら・インクルージョンがほとんど存在しないのです。
なぜか?
それを知るには、クレサンベールがどのようにして出来上がるのかを知らなければなりません。
クレサンベールのできるまで
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、加熱処理などの人工処理が行われています。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したルビーだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールのメリット
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
たとえばルビーなどは、鉛ガラスの含侵処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
まとめ
天然ルビーとクレサンベールのルビーとの違いを述べました。
天然と人工との違いはあれど、内容的にはクレサンベールと天然の宝石は化学的・物理的・光学的性質にほとんど違いがありません。
しかし決定的な違いはルビーの美しさと輝き。
ほとんどのものが加熱熱処理されている天然ルビー。
片や、何の人工処理もされていないクレサンベールルビー。
そして色むら・インクルージョンが必ずある天然ルビー。
片や色むら・インクルージョンがほとんどないクレサンベールルビー。
これに拠りてこれを見れば、明らかにクレサンベールのルビーが美しいといえるでしょう。
いかがだったでしょうか。
参考になりましたでしょうか。
最後に、クレサンベールのルビーネックレスを紹介し、このページを閉じたいと思います。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。