深緑の宝石エメラルド。
その深く濃い緑は大自然の緑を思わせ、心を安らぎへと導いていく。
ダイヤのような華やかさはないものの、その輝きは草原を想起させ自然回帰へと誘う。
エメラルドとはそんな雰囲気をもった宝石といえるのではないでしょうか。
しかしそんな美しいはずのエメラルドには大敵があります。
それはインクルージョンという濁りです。
これがエメラルドの透明度を悪くしています。
エメラルドにはインクルージョンが付き物といわれるほどインクルージョンが必ずあり、これはエメラルドの宿命とでもいえるもので、切っても切れないつながりがあるのです。
そんなインクルージョンで濁りのあるエメラルドを輝かすのは難しく、それゆえ輝きを主目的とするファセットカットより美しさの表現を目的とするステップカットが多く用いられるようになりました。
ステップカットは別名エメラルドカットとも呼ばれ、これは輝きよりも宝石の美しさを表現するために用いられるカット法です。
一方ファセットカットとは宝石の輝きを主目的としたカット法で、代表的なものでいえばダイヤモンドのラウンドブリリアントカットが挙げられます。
このファセットカットはエメラルドには不向きとされ、たとえしたとしてもそのエメラルドは輝かないといえるのが大方の見立てです。
しかし京セラのエメラルドなら、ファセットカットすれば輝くといえます。
その理由は京セラのエメラルドにはインクルージョンがほとんどないからです。
京セラの出すエメラルドは再結晶宝石で、クレサンベールというブランド名で販売されています。
このページでは、ファセットカットが生きる京セラエメラルドと題し、京セラのエメラルドにはどんな特徴があるのか述べてみたいと思います。
クレサンベールのできるまで
京セラのエメラルドの特徴を述べる前に、まずは京セラのクレサンベールはどのような工程で出来上がるのか見て頂きたいと思います。
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、オイル処理などの人工処理が行われています。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したエメラルドだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールの特徴
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
※ エメラルドなどはオイル処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
クレサンベールエメラルドのメリット
以上、クレサンベールの説明からおわかり頂けたと思いますが、
クレサンベールのエメラルドはまず第1にクラック(亀裂)、インクルージョン(内包物)がほぼない。
そして第2に色むらがない。
そして第3にカラーが深緑で統一されている。
第4にオイル処理などの人工処理が施されていないため、経年による色調劣化がない。
色艶とも半永久的に保てる。
というのがクレサンベールのエメラルドのメリットです。
ファセットカットで輝く京セラエメラルド
以上の説明でおわかり頂けたと思いますが、クラックやインクルージョンがほとんどないのが京セラのエメラルドです。
しかも天然にありがちな色むら、オイル処理といったものが一切なく、色は深緑で統一されています。
このような完璧にも近いエメラルドをファセットカットしたら輝かないはずがありません。
ファセットカットが生きるエメラルドといった訳をおわかり頂けたと思います。
以下にクレサンベールのエメラルドネックレスを紹介しこのページを閉じたいと思います。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。