女性なら必ず憧れるであろう1カラットの一粒ダイヤリング。
しかし値段が非常に高いため、買うにあたっては相当の勇気がいります。
私の経験からいえば、購入されるのはたいていエンゲージリングとしてで、それも親が息子のためにお金を建て替えるケースが多く、息子自身がお金を支払ったケースは見たことがありません。
私も宝石商をしていた頃は、エンゲージリングとして1カラットのダイヤリングを納めた経験を持ちますが、これも例に漏らさず親が息子のためにお金を建て替えられていました。
エンゲージリングとして納める1カラットのダイヤリングは、やはりグレードが高品質ですから100万円以上します。
それだけのお金をこれから結婚しようという男性が払えるはずもなく、親が代わりに建て替えるのも無理からぬことといえるかもしれません。
前置きが長くなりましたが、とにかく1カラットの一粒ダイヤリングとなると値段も高く、高品質になると100万はゆうに超えることを覚悟しなくてはなりません。
ただ巷では、1カラットのダイヤリングが安く売られているケースがあります。
値段につられてそのような商品を買うと後悔することになりますので注意が必要です。
このページでは1カラットの一粒ダイヤリング購入に当たって後悔しないよう、その選び方をお伝えしたいと思います。
10万円台の1ctダイヤリングには手を出してはいけない
10万円台の1ctダイヤリングが販売されているケースがあります。
以下がその商品の一例です。
一見安くてよさそうに見えますが、ダイヤの品質においてはHカラー、I1クラスと明記されているだけでカットグレードの評価はありません。
ダイヤというのは、美しさはカラーで、輝きはクラリティとカットのランクで判断が可能です。
しかしこの二つの商品の場合、カラーとクラリティのランク表記はありますがカットがありません。
したがって判断のしようがなく、ダイヤが期待通りに輝くかどうかわからないのです。
それに鑑別書付きというのも気になります。
宝石には鑑定書と鑑別書があり、鑑定書はダイヤの品質を表記したもので、これはダイヤモンドにしかありません。
一方鑑別書とは、その宝石が天然であるかどうかを鑑別したもので、ダイヤに限ったものでなく宝石全部にあてはまるものです。
これらのダイヤリングは鑑別書付きとありますが、それはダイヤが天然石であることを証明したもので、ダイヤの品質を表記したものではありません。
つまり裏を返せば、品質を表記できるほどのグレードの高いダイヤではないということで、その代わりとして鑑別書を添付しているわけです。
こういった理由で、10万円台の1ctの一粒ダイヤリングには手を出してはいけないのです。
ではどういったものなら手を出していいのか?
鑑定書付きのもの
まず見るべきは鑑定書が付いているかどうかです。
鑑定書とは先ほども申し上げたようにダイヤの品質を表記したものです。
つまり品質を表記できるほどのグレードを持ち合わせているということです。
ただし、どの機関がその鑑定書を発行しているかも確認しなければなりません。
鑑定機関によっては甘いジャッジをするところもあり、実際にそれほどのグレードを有していないのに高い評価をつけるケースもあるため、信用性の高い鑑定機関が鑑定したものであるかどうか確認する必要があります。
ちなみに信用性の高い鑑定機関は、「中央宝石研究所」あるいは「GIA鑑定機関」に限ります。
これらの鑑定機関が発行した鑑定書なら間違いはないでしょう。
ダイヤが美しく輝くもの
しかしいくらお墨付きの鑑定書が付いていたからって、ダイヤの品質が悪ければダイヤは輝きません。
やはり手を出していいのは、品質のいいダイヤが付いたリングです。
そこで次にどの程度のダイヤの品質なら問題はないか。
それについてお話しをさせていただきます。
ダイヤの品質は4Cによって評価されます。
4Cとは、カラット(重量)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨・プロポーション)の頭文字をとってそう呼びますが、このうちカラーはダイヤの美しさに、クラリティとカットはダイヤの輝きに影響を与えます。
まずはダイヤの美しさに影響を与えるカラーについてご説明させていただき、そのあとに輝きに影響を与えるクラリティとカットについてご説明させて頂きます。
カラーについて
カラーはダイヤの色を評価したもので、無色のダイヤほど高い価値が付けられます。
最近ではVery Light Brownなどのダイヤも販売されていますが、要は色のついたダイヤのことであり価値的に見れば無色のダイヤより劣っていることになります。
ダイヤはやはり無色のものが美しく、その理由はダイヤ内で起こるプリズム効果にあります。
プリズム効果を発揮する無色のダイヤ
太陽光を含む白色光はプリズムを通せば赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と七色に分かれます。
これは色それぞれの波長が異なるため、屈折によって光が分散されるためです。
この現象がダイヤ内でも起こります。
ダイヤ内に光が入射すると、光の中にある波長の異なる色が屈折によって分散されます。
上質のダイヤモンドを覗き込むと、いろいろな色の光線が発見できます。
これはダイヤ内でプリズム効果がなされているからです。
無色のダイヤに光が入射すると、反射した光は変色されることなくありのままの光線を放ちます。
しかし色のついたダイヤモンドの場合、ダイヤのカラーの影響を受けてしまい、光線を変色させるのです。
これがダイヤの美しさに影響します。
ダイヤに美しさを求めるなら無色の方が望ましく、色のついたものは避けた方が無難です。
ではダイヤが美しく輝くためには、カラーがどのランクのものがいいかというと「H」以上のものが望ましいといえます。
同じ「ほとんど無色」に属しているG、H、I、Jですが、IとJはその下の「わずかな黄色」のランクに近いこともあり、やはり幾分黄色く見えます。
プリズム効果にさほどの影響を与えないのは「Hカラー」以上のダイヤといえ、美しいダイヤを求めるならこれ以上のものを選ぶ必要があります。
クラリティについて
ダイヤは天然鉱石ゆえ、必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
インクルージョンの多いダイヤは透明度が低くなり、逆に少ないダイヤは透明度が高くなります。
つまり簡単にいうと、インクルージョンの量の度合いによって透明度が測られているのがクラリティというわけです。
クラリティは11段階に区分けされ、インクルージョンのない場合クラリティは「FL(フローレス)」と評価されます。
そしてインクルージョンの量が増えるに従い、IF、VVS1、VVS2、VS1・・・と評価されていきます。
ではダイヤが輝くために必要なクラリティはどの程度かというと、「SI」クラスです。
SIクラスというのは表からおわかりのように、肉眼でインクルージョンの発見が困難な時につけられる評価です。
つまりそれだけ微小ということ。
インクルージョンが微小なため光の透過にそれほど影響を与えないのです。
しかしその下のランクの「I」クラスになると、肉眼での発見が容易なほどインクルージョンが大きいため、光の透過を著しく邪魔するのです。
言葉だけの説明ではわかりにくいと思いますので、実際に比較画像をご覧ください。
左がSIクラス、右がIクラスです。
明らかに透明度の違いが見て取れるでしょう。
このようにダイヤが輝くためには、ダイヤの透明度を測る指標のクラリティが少なくともSIクラス必要なのです。
カットについて
ダイヤが輝くのはカットのお蔭です。
カット技術が進まなければあのようにダイヤが輝くことはなかったでしょう。
そしてその最も輝くカット法がラウンドブリリアントカットといわれるものです。
しかしダイヤをラウンドブリリアントカットすればすべて輝くかというと、そうではありません。
やはりそこは出来具合にかかってきます。
下のイラストをご覧ください。
これはダイヤのカットの出来によっての光の反射の違いを表したものですが、たとえばExcellentカットされたダイヤに光が入射すると光はダイヤ内で反射され再びダイヤ外へ放射されます。(イラスト左参照)
これを全反射といいますが、ダイヤのカットが深すぎたり浅すぎた場合には光は全反射せず光が途中で漏れてしまい、輝きが劣ることになるのです。
これがカットの出来如何による輝きの違いです。
ダイヤ内の光が全反射するためには、その理想となるプロポーションが存在し、それが以下の比率で構成されています。
ダイヤは、この構成比率に近くて研磨状態が良好なものから、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとランク付けされます。
ではダイヤが輝くためにはカットはどのランクのものがいいかというと、「Good」以上のダイヤです。
FairやPoorカットのダイヤはプロポーションに問題があり、輝くとは言えません。
つまりダイヤが輝くためには、カットがGood以上必要なのです。
手を出していい1ctダイヤリング
以上お話ししましたように、1ctダイヤリング購入に当たって後悔しないためには、信用のおける鑑定機関が発行した鑑定書が添付されており、しかもその評価内容がHカラー以上、クラリティSIクラス以上、カットGood以上の評価が付いたダイヤリングを選ぶことです。
ちなみにそれに当てはなる商品がこれらです。
まとめ
後悔しない1カラット一粒ダイヤリング選びについてお話ししました。
いかがだったでしょうか。
参考になりましたでしょうか。
このページが皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただき、真に有難うございました。