冠婚葬祭に身に着けるアクセサリー、パールネックレス。
結婚式、通夜、葬儀、法事などのシーンでは、パールネックレスを着けるのが一般的です。
それゆえ結婚と同時にパールネックレスを買い揃える方もいます。
所帯を持つと何かとご近所との付き合いもあり、弔事に出かけることもありますからね。
私の場合は、エンゲージリングと一緒に購入し、結納の時に渡しましたが・・
さてこのパールネックレスですが、ネットでも販売されているようですね。
安いものなら千円台、高いものならウン十万といった具合に価格の高低がありすぎて驚きます。
元宝石商の私からすると、ネットで購入して大丈夫かな~と疑念を抱かざるを得ません。
このページでは、ネットでパールネックレスを購入する際の注意点とその選び方を、元宝石商の視点から述べてみたいと思います。
パールの質はネットではわかりにくい
ネットで購入できる宝石はダイヤモンドだけと私は思っています。
なぜならダイヤモンドには4Cという評価があるからです。
4Cとは、カラット(重量)、カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨・プロポーション)の頭文字をとってそう呼びますが、これらはダイヤの価値を測る指標になります。
つまりこれらの出来によってダイヤの品質がはかられ、きれいなダイヤか、輝くダイヤかを判別できるわけです。
しかし真珠(パール)の場合は違います。
価値を測る基準というものがなく、たとえばあこや真珠、ホワイトピンク系、7.5~8㎜といった情報と見栄えのある商品画像が掲載してるだけです。
この程度の情報では、本当にきれいなパールネックレスかどうかはわかりません。
値段の安さにつられ、本真珠だからいいやとばかりに購入してしまうと、現物を見てがっかりしてしまうこともあると思います。
結論的に申し上げますと、ネットではあまり高額の本真珠ネックレスは買わない方がいいということです。
本真珠というのはダイヤと同じ天然物で、真円もあればバロックもあります。
小キズもあればえくぼと呼ばれるくぼみもあります。
また真珠の命であるマキ、テリは、その良さを測る指標がなく、実際に目で見てみないとわからないです。
しかしどうしてもネットでパールネックレスを買いたい場合は、捨て金と思える金額が付いた本真珠ネックレスにするのがいいと思います。
捨て金ですから、期待通りのパールネックレスが届かなくてもがっかりすることはないでしょう。
本当にいいパールネックレスは10万円台では無い
私が真珠を仕入れていたのは、伊勢で真珠養殖をしている会社でした。
今から30年ほど前の話ですが、その会社の方から真珠についていろいろ学びました。
そのことについて少しお話ししましょう。
マキとテリの重要性
真珠はまずマキが重要で、核を何層もの真珠層が巻くことによってきれいな輝きを放つことになるわけですが、このマキの厚さによってその輝きの度合いが違ってくるのです。
また真珠はテリ(光沢)が重要といわれますが、このテリは真珠層の疎・密によって変わってきます。
疎の真珠層のパールはテリが弱く、密の真珠層のパールはテリが強いといわれます。
つまりマキが厚く、密の真珠層をもつパールは高い評価が付けられるわけですが、ともに非常に奥が深いため、ダイヤモンドの4Cのように基準を設けることが難しく、よって選別に非常に時間がかかるといわざるを得ません。
またそれだけの数の真珠を集めることも至難といえます。
一粒だけならまだしも、数珠上のネックレスとなるとそれだけの数を揃えなければなりません。
同程度のマキ・テリを持つ真珠を揃えなければネックレスにならないため、大変な時間と労力を要するといわざるを得ません。
同じカラーのものを揃えるのも至難の業
また、色も揃えなければなりません。
真珠もダイヤと同じように色があり、黄色系、ホワイト系、ホワイトピンク系、ピンク系などに分けられますですが、ネックレスにするためには同色系のパールを揃えなければなりません。
つまり、マキ、テリに加えてカラーも揃えなければならないため、非常に手間がかかるのです。
さらにこれだけではありません。
真珠の大きさも合わせなければなりませんし、天然物ゆえ真円・バロックといろいろな形のものが存在します。
キズもありますしエクボと呼ばれるくぼみもあります。
それらひとつひとつを検品し、ひとつのパールネックレスが出来上がるのです。
この労力の多さたるやダイヤネックレスの比ではありません。
これだけの工程を経てひとつのパールネックレスが出来上がるわけですから、上質のパールネックレスが10万円台でできるわけがないのです。
ネットで10万円台のパールネックレスが売られていますが、果たして期待通りの光沢と輝きを持っているかどうか。
私としては甚だ疑問に感じます。
本当にいいパールネックレスをお望みなら、店頭で現物を見て買うのがよろしいかと思います。
テリ・マキ・カラーが申し分なく、小キズなど問題がなければ、30万円以上すると思ってください。
本当にいいパールネックレスは高いのです。
ネットでのパールネックレスの選び方
ではネットではパールネックレスは買わない方がいいのかというと、考え方によってはそうではありません。
本真珠ではなく、人工真珠、いわゆる貝パールと呼ばれるものならお手頃価格で購入できます。
本真珠はメンテナンスが大変なんです。
本真珠は酸に弱く、つまり汗などで傷んでしまうのです。
夏に本真珠を着けて、それをしまう時、そのまま桐箱に入れる方もいますが、これでは真珠は傷んでしまうのです。
しまう場合は柔らかいタオルで軽く拭くか、水を張った洗面器にパールネックレスをサッとくぐらせて、そのあとタオルで水分をきれいに拭き取ってからしまうかしなければなりません。
このように本真珠はメンテナンスが大変で、手間がかかるのです。
しかし貝パールの場合はその必要はありません。
人工的な表面加工をしてありますので、面倒なメンテナンスは必要ないのです。
経年劣化以外、劣化の心配はない。
それにお値段が非常に安い。
8㎜玉で5,980円となっていますから、10万円本真珠ネックレスの20分の1です。
カラーもホワイト、グレー、ピーコックから選べ、サイズも短め、定番サイズ、ロングサイズと選べてお値段が5,980円ですからお買い得といえますね。
ネットでパールネックレスを買うなら、貝パールのネックレスが適当ではないかと思います。
まとめ
ネットでのパールネックレスの選び方を述べさせて頂きました。
参考になりましたでしょうか。
本当にいいパールネックレスは高いものです。
そんなパールネックレスを望むなら、ネットでは買わない方がいいのです。
いいものは現物を見て納得してから買うのが得策です。
このページが皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。