深く濃いブルーの宝石、サファイア。
その美しい青は、海を思わせ空を思わせる。
人は不思議にこの青色に心が和み、安らぎさえ覚える。
美しい大海原と晴天の空を見た時のように。
サファイアの青色は、元来こういった澄み切ったきれいな青であるべきです。
さればこそ、心が和み心が安らぐというもの。
しかしサファイアには青といっても様々な青が存在し、一体どの色がサファイアと呼ぶに相応しい色なのか。
このページでは、サファイアリングの色判別の難しさとその選び方について述べさせて頂きたいと思います。
ネットでサファイアの色判別はほぼ不可能
ネットでは様々なブルー色のサファイアリングが販売されていますが、皆それぞれ色・透明感が微妙に異なります。
それは天然宝石ゆえ仕方がないことです。
下の画像をご覧ください。
サファイアの色が微妙に違うのがおわかりでしょうか。
このように天然サファイアは色の濃さ、色相、透明度がみな違うのです。
それにサファイアのブルー色には、ダイヤの4Cのように価値を測る基準がありません。
よって目視に頼るほかないのですが、商品画像ではその写り方に微妙な差異が現物との間に生まれますから、あまりあてになるとはいえません。
それに天然宝石はひとつとして同じものがありませんから、商品画像のサファイアがきれいな青色だからといって、そっくりそれと同じものが送られえてくることはまずないのです。
よってネットでのサファイアの色判別は難しく、ほぼ不可能に近いといえるでしょう。
色合いを良くする人工処理に注意
実はサファイアは、採掘されままではとてもきれいな状態にはありません。
もちろんカットは行われますが、色合いが悪いため、ほとんどのサファイアには人工処理が施されています。
そのひとつが加熱処理で、この方法によってサファイアの色合いが良くなります。
これは一般的に行われているサファイアの人工処理で、天然サファイアと同等に扱われます。
しかし次にお示しする人工処理はその範囲を超えており、こうなると天然サファイアと呼ぶに値しないものになってしまいます。
表面拡散加熱処理
宝石の色を変えたり色調を変えるために、加熱処理時に人為的に特定の元素を加え、宝石の表面に拡散・浸透させる加熱処理法を表面拡散加熱処理といいます。
たとえば無色のコランダム(ルビーやサファイア)にチタンやクロムといった着色元素を加熱処理時に加えると、色を石表面に浸透させることができます。
このサファイアは、見た目はブルーでもそれは表面だけで、カットすれば中身は無色のコランダムが現れてきます。
こうなるともはやサファイアとは言えず、天然宝石ともいえないでしょう。
こういった処理に関しては商品説明の中での記載が義務付けられており見分けるのは容易いですが、もし表面拡散処理と記載があれば選ばないようにしなくてはいけません。
大抵このような商品は、カラット数のわりに極端に安い価格が付けられています。
含侵処理
サファイアの透明度をよくする目的で行われているのがこの含侵処理。
鉛ガラスをサファイアのクラックやインクルージョンに含侵させ、透明度をアップさせるという処理。
しかしこの含侵処理されたサファイアは、重量や耐久性などに影響を及ぼすことが懸念されており、事実酸に弱いという報告も見られます。
この含侵処理されたサファイアは、鑑別書においては「含侵を認む。」と表記されるため見分けるのは容易いですが、商品説明では省いているときもあるため、十分な注意が必要です。
このサファイアに関しても、カラット数のわりに価格が安いというのが特徴で、あまり安いサファイアリングの場合、商品説明や添付されている鑑別書の中身をよく見る必要があります。
万一そのような説明が一切ない場合は、避ける方が無難です。
サファイアに限らず宝石というものは、いいものは高いものなのです。
サファイアリングの色判別とその選び方
ここまでお読みになって気付かれたと思いますが、ネットでのサファイアの色判別は不可能といえます。
それはひとつとして同じものがない、自然から生み出された天然宝石ゆえ仕方のないことです。
ただひとつだけあるとすれば、京セラのクレサンベールサファイアなら色判別は可能です。
なぜなら京セラが出すサファイアの青は、矢車草の花の美しい青色を再現したもので、ブルーサファイアの中でも珍重されているコーンフラワーブルーを基調としているからです。
この矢車草の美しい青色を再現したサファイア。
このクレサンベールのサファイアなら、色といい透明度といい、文句のつけようがないでしょう。
クレサンベールとは
京セラが出すクレサンベールとはいったいどういうものか?
クレサンベールとは京セラ独自の技法で作られた再結晶宝石のことで、色といい艶といい天然を上回るほどの品質を保持しています。
京セラはクレサンベールについてこう述べています。
クレサンベールと天然の宝石は、化学的・物理的・光学的性質にほとんど違いがないと。
これを裏付ける証拠として、京セラは科学的データを公表しています。
化学的性質は同じ
天然サファイアの化学的組成は、Al2O3です。
一方クレサンベールのサファイアの化学的組成もAl2O3です。
これは全く同成分ということになります。
これを証拠づけるものとしてX線回折、分光分析を行っており、天然石と同一という結果が出ております。
物理的性質も同じ
天然サファイアの結晶系は六方晶系ですが、クレサンベールのサファイアも全く同じです。
そして硬度(モース)も同じ9、比重は天然3.90~4.01に対してクレサンベールサファイアは4.01でほぼ同じ、融点に関しても同じ2050℃という結果が出ています。
このように物理的性質もほぼ同じといえます。
光学的性質も同じ
さらに光学的性質について見てみますと、
天然サファイアの屈折率は1.760~1.768に対し、クレサンベールのサファイアの屈折率は1.762~1.770という結果が出ています。
つまり屈折率もほぼ同じ。
そして複屈折は天然は0.008~0.010に対しクレサンベールでは0.008という結果。
これもほぼ同じです。
以上のデータは、すべて京セラクレサンベールの公式ホームページより抜粋したものです。
詳しくは、京セラクレサンベールの公式ホームページをご覧ください。
このようにクレサンベールの人工宝石は、天然宝石と化学的・物理的・光学的にほぼ同じということで、見た目だけ同じという人工宝石とは一線を画す宝石といえるのです。
ではこのクレサンベールを選ぶメリットとは何でしょう。
それにはクレサンベールができるまでの製造工程を知る必要があります。
クレサンベールのできるまで
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは天然宝石においても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、オイル処理などの人工処理が行われています。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したサファイアだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールのメリット
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
※ サファイアなどは含侵処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
美しさの前に天然も人工もない
クレサンベールのサファイアが美しいということはわかった。
しかし人工宝石だからなあ~と思われる方もあるやもしれません。
しかし美しくあってこそ宝石です。
たとえ天然サファイアであっても色が薄かったり、キズやインクルージョンで濁っていたらどうでしょう。
ファッションとして成立しなくなります。
おしゃれは美しく見せるためにするもの。
これがファッションです。
しかし粗悪なサファイアを身に着けると、このファッションの原則から外れてしまいます。
ですがクレサンベールのサファイアならそうはなりません。
サファイアそのものが美しく魅力に満ちたものですから、リングにしろネックレスにしろすべて美しく着飾ることができるのです。
天然であるとか人工であるとかは、美しさの前では二の次です。
まず宝石は美しくなければなりません。
確かにクレサンベールは人工宝石ですが、その内実は天然とほぼ同じで、天然宝石の上を行く美しさと輝きを持ち合わせています。
より美しく見せるのがファッションなら、宝石もそのお手伝いをしなければならず、そのためにはまず美しくなければなりません。
クレサンベールのサファイアなら、あなたをより美しく、ファッション性の高いおしゃれを実現させてくれます。
まとめ
サファイアリングの色判別の難しさとその選び方を解説しました。
参考になりましたでしょうか。
最後に、クレサンベールのサファイアリングを紹介し、このページを閉じたいと思います。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。