5月の誕生石、エメラルド。
その深く濃い緑色は見る者を魅了し、女性なら一度は身に着けたいと思えるほどの美しさを携えています。
小指にはめるリングのことをピンキーリングといいますが、このエメラルドのリングをピンキーリングにした場合どうでしょう。
華奢なフォルムのリング上で、エメラルドが小指で静かに輝く。
輝きを誇示するダイヤモンドとは少し違った雰囲気を漂わせ、上品で控えめなその佇まいは、まさに粋なおしゃれとして映ることでしょう。
しかしこのエメラルドをピンキーリングにした場合、気を付けなければならないことがあるのです。
このページでは、エメラルドをピンキーリングにした場合の注意点とその選び方を述べさせて頂きたいと思います。
モノに接触しやすいピンキーリング
ピンキーリングの装着画像を見ておわかりだと思いますが、小指にはめられたリングというのは薬指側だけが護られており、反対側は全部露出している状態です。
通常薬指や中指、人差し指にリングを着けた場合は周りの指によってある程度のモノとの接触は避けられますが、ピンキーリングとなるとそうはいきません。
外側は全部露出している状態ですからモノとの接触が多くなり、それだけ指輪が傷みやすい環境にあるといえるのです。
こういった環境にエメラルドを置くと危険な場合があるのです。
それはエメラルドの耐性に関係してきます。
エメラルドは脆い鉱物
天然エメラルドのモース硬度は、7.5~8.0です。
これは歯のモース硬度の7より少し高い硬さです。
しかしモース硬度とは表面の硬さのことで、靭性とは異なります。
靭性とは粘り強さのことで、割れに対する耐性のことを指します。
一番靭性の高い鉱物はコランダム(ルビーやサファイア)とヒスイの8ですが、一番モース硬度が高い10のダイヤモンドでも靭性は7.5です。
エメラルドとなると靭性は5~5.5で、決して耐久性がある宝石とは言えません。
それにエメラルドはインクルージョン(内包物)やクラック(亀裂)が多い鉱物で、これがために割れる危険性が高いといえます。
このような脆い宝石をピンキーリングにするとなると、選び方に注意しなくてはならないのです。
ほとんどのエメラルドはオイル処理されている
天然エメラルドは採掘されたあと、きれいにカットされただけで世に出るものと思っておられる人も多いかと思います。
しかしほとんどのエメラルドはオイル処理といって、人工的な処理が施されています。
こうすることによってエメラルド内にあるインクルージョンやクラックを目立たなくするのです。
しかしこの処理効果は永久ではなく、時間の経過とともに減少していきます。
たとえば宝石洗浄で使われる超音波洗浄。
エメラルドリングが汚れたからといってこの洗浄機で洗うと、エメラルド内のオイルが落ち、色が褪色していくのです。
褪色とは色があせることです。
もちろん水洗いも厳禁です。
頻繁に水洗いすることによってオイルが剥がれ落ち、やがて色あせていきます。
エメラルドをピンキーリングに着けるとなると、汗を浴びる機会も増えましょう。
汗は汚れのもとになるゆえ、洗うこともしばしばのはずです。
しかし洗えばエメラルドは最初の光沢・色合いを失い、美しいはずのエメラルドリングがそうではなくなってしまうのです。
これが天然エメラルドにみる現実なのです。
耐性が強く色あせないクレサンベールのエメラルド
天然エメラルドでは、割れの原因ともなるクラック(亀裂)やインクルージョンが多いため、エメラルドは決して耐性がある宝石とはいえません。
またオイル処理されたエメラルドがほとんどのため、経年による色あせも否定できません。
しかし京セラが出すクレサンベールのエメラルドならこれらの問題を一気に解決し、ピンキーリングするエメラルドとして十分な品質を持ちわせています
では、クレサンベールの宝石とはそもそも何でしょう。
まずはクレサンベールについて詳しく述べさせて頂きます。
クレサンベールとは
クレサンベールとは京セラ独自の技法で作られた再結晶宝石のことで、色といい艶といい天然を上回るほどの品質を保持しています。
京セラはクレサンベールについてこう述べています。
クレサンベールと天然の宝石は、化学的・物理的・光学的性質にほとんど違いがないと。
これを裏付ける証拠として、京セラは科学的データを公表しています。
以下はエメラルドに関するデータです。
化学的性質は同じ
天然エメラルドの化学的組成は、3BeO・Al2O3・6SiO2です。
一方クレサンベールのエメラルドの化学的組成も3BeO・Al2O3・6SiO2です。
これは全く同成分ということになります。
これを証拠づけるものとしてX線回折、分光分析を行っており、天然石と同一という結果が出ております。
物理的性質も同じ
天然エメラルドの結晶系は六方晶系ですが、クレサンベールのエメラルドも全く同じです。
そして硬度(モース)も同じ7.5~8.0、比重は天然2.65~2.74に対してクレサンベールのエメラルドは2.65~2.70でほぼ同じ、融点に関しても同じ1410℃という結果が出ています。
このように物理的性質もほぼ同じといえます。
光学的性質も同じ
さらに光学的性質について見てみますと、
天然エメラルドの屈折率は1.565~1.598に対し、クレサンベールのエメラルドの屈折率は1.563~1.568という結果が出ています。
つまり屈折率もほぼ同じ。
そして複屈折は天然は0.005~0.008に対しクレサンベールでは0.005という結果。
これもほぼ同じです。
以上のデータは、すべて京セラクレサンベールの公式ホームページより抜粋したものです。
詳しくは、京セラクレサンベールの公式ホームページをご覧ください。
このようにクレサンベールの人工宝石は、天然宝石と化学的・物理的・光学的にほぼ同じということで、見た目だけ同じという人工宝石とは一線を画す宝石といえるのです。
ではこのクレサンベールを選ぶメリットとは何でしょう。
それにはクレサンベールができるまでの製造工程を知る必要があります。
クレサンベールのできるまで
京セラはクレサンベールの製造工程において、再結晶宝石をより美しく仕上げるために様々な努力をしています。
それは原鉱石の精製に始まり、出来上がった再結晶宝石の厳選、商品化といった厳しい審査を経て、はじめてクレサンベールと認定されるということです。
以下にその工程を説明します。
不純物の除去
まず原鉱石の中で良質なものが使用できるよう、鉱石を厳選していきます。
そして適した原石が見つかったらそれを粉状にして精製していきます。
つまりこの段階で不純物を出来るだけ取り除くのです。
こうすることで黒ずみやインクルージョンの発生を抑え、良質な再結晶が生まれやすくしています。
原鉱石を溶かす
次にプラチナ製のるつぼの中で原鉱石を溶かしていきます。
地球内部のマグマと同じ状態を再現するために1410℃以上で加熱し、どろどろに溶かしていきます。
そして結晶が順調に成長するよう理想的な環境を作るために、人とコンピューター制御によって管理していきます。
しかし京セラはこう述べています。
科学技術はあくまで環境を整えるサポート役にすぎません。
結晶が美しく成長してゆく過程は、石そのものに委ねるしかないと。
こうして出来上がったのが再結晶宝石になるのですが、ここからさらに厳選が始まります。
厳選・カッティング
次に、再結晶によって生まれた原石のチェックが始まります。
色合い、インクルージョンの大きさ、位置等を確認し、良質な天然宝石に匹敵するほどの宝石になるようカッティングする部分をマーキングし、カットしていきます。
カットは良質な色合いの部分のみを選び、インクルージョンを避けながら行われます。
そして途中何度も品質のチェックが行われ、宝石ひとつひとつを熟練した職人による丹念な手作業で磨き上げられます。
しかしここで完成ではなく、さらに厳しい品質検査が待っています。
品質検査
研磨された再結晶宝石を、さらに熟練の鑑定士によって品質検査を行います。
GIAに準拠した判断基準をもとに、確かなグレーディングが行われます。
そして最終的に宝飾品として製品化されるのは、育成された再結晶宝石の中でたった数パーセントだと言います。
つまりクレサンベールは、これほどの行程を経てようやく世に出ることになるのです。
完成された再結晶宝石
天然では成しえることができない美しさをもった宝石。
それがクレサンベールの再結晶宝石です。
人工的になされたものは、宝石が結晶化するための環境作りだけ。
それ以外の結晶化はすべて宝石まかせ。
マーキング、カッティングは、天然サファイアにおいても行われていること。
しかしそれでも色むら、インクルージョンが混入するため、エメラルドの場合オイル処理などの人工処理が行われる始末です。
しかしクレサンベールにはそのような人工処理は必要ありません。
科学の力で色むら、インクルージョンを出来るだけ少なくし、さらにその少ない中から厳選し、抽出したエメラルドだから人工処理せずとも美しいのです。
クレサンベールのメリット
クレサンベールは天然宝石と同じ輝きをもつ
クレサンベールは、屈折率も天然宝石とほぼ同じ。
つまり屈折率が同じということは輝きも同じということになるのです。
媒体には必ず屈折率が存在し、屈折率が高いものほど光は鋭角に曲がります。
屈折率は以下の数式で産出されます。
屈折率は臨界角に関係し、臨界角とは光が逃げない角度のことを言います。
臨界角のことをわかりやすく水と空気とで説明すると、光源を水の中に置き、そこから光を放射したとします。
放たれた光は水中から空気へと進みますが、媒質が異なるため、空気中に出ると光は屈折します。(①の場合)
水面に対して光源はほぼ真下にあるので光はこういう方向に進みますが、これがもし光源から離れたところの水面ではどうでしょう。
②のように、光は水中から出られず、そのまま水中に反射されることになるのです。
この角度を臨界角といいます。
この臨界角は宝石の場合輝きに影響し、臨界角が狭いほど光を逃さず効率的に光を反射させることができます。
ダイヤが輝くのは臨界角が極端に小さいからで、そのおかげで入射した光を逃さずダイヤ内で反射させるため、あのような素晴らしい輝きを放つことができるのです。
話を元に戻しますと、クレサンベールの宝石は天然ものと同一の成分を有しているため、屈折率は同じです。
屈折率は同じだから臨界角も同じということになり、輝きも天然のものと同じということなのです。
カラーが均一
天然宝石にはどうしても色むらがあります。
濃いもののあれば薄いものもあり均一されていません。
それゆえ、選ぶ宝石によって色むらが発生するのです。
しかしクレサンベールの場合は違います。
クレサンベールは再結晶されたもの全部を使うわけではなく、そのいいところだけを抽出し、選びに選び抜かれたものだけをクレサンベールの宝石にしますから、色むらがほとんどありません。
すべて色が均一化された宝石がクレサンベールなのです。
それゆえ、天然ものと違って色むらはほとんどないのがクレサンベールということになります。
色調が退化しない
天然宝石といっても色調をよくするため人工処理をしている色石があります。
※ エメラルドなどはオイル処理を施して艶をあげています。
最初はいいのですが、時間の経過とともにそれが薄れ、色調が退化していきます。
しかしクレサンベールはそのような人工処置は一切行っておりません。
したがって半永久的に色調が変わらないといえます。
インクルージョン(内包物)がほとんどない
天然宝石には必ずインクルージョン(内包物)が存在します。
これは天然物ゆえ仕方がないことです。
しかしクレサンベールは違います。
再結晶時においてもインクルージョンは発生しますが、クレサンベールの場合極力インクルージョンの少ない部分だけをカットしますから、濁りのもとであるインクルージョンがほとんど存在しないのです。
つまり透明度が高いため、天然宝石より輝くといえます。
エメラルドに至っては、クラック(亀裂)インクルージョンがほとんどないため耐性が天然物より高いといえます。
まとめ
エメラルドをピンキーリングにする場合、ある程度の耐性が必要です。
そのためにクラックやインクルージョンが少ないものが望ましいといえます。
しかし天然でそのようなエメラルドを見つけるのはほとんど不可能に近く、したがってピンキーリングに合うエメラルドはないとさえ言えます。
しかしクレサンベールのエメラルドならそれが可能です。
しかも色は半永久的に保持されますから、ピンキーリングにはもってこいの品といえます。
いかがだったでしょうか。
参考になりましたでしょうか。
最後に、クレサンベールのエメラルドリングを紹介し、このページを閉じたいと思います。
最後までお読み頂き、真に有難うございました。